□不器用と鈍感の恋愛
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私と白哉の関係、友達以上恋人未満。

だけど私に芽生えた感情、好き。

白哉がどう思っているのかは知らない。

だけど私は白哉が好きだ。

恋人じゃないから手は繋がない、キスもしない。

たまに寄り添ったりする。

それだけ。

素直に気持ちを伝えられない。

照れ隠し。

そんなカンジ。

思考回路がうまく回らない。

今、死にかけ。

大傷を負った。

動けない。

死ぬのかな?

死ぬのかも。

それはそれでいい。

死ぬって何だっけ?

消える?

ああ、白哉に会えないってことか。

泣くかな、白哉?

泣かないかも。

こんなガサツな女、すぐに記憶から抜け落ちちゃうかも。

それならそれでいいか。

だってすきなのは私だけ。

一方通行。

あれ?白哉だ。

「奏?まだ生きてるか?」

生きてるよ。

今んとこはね。

「もち。」

「そうか。」

最後かな。

今なら伝えられるかも。

「白哉…」

「ん?」

「私、白哉が好き。」

「そうか。」

何?無反応?

そりゃそうか。

さて、もう疲れた。

さよならかな。

そんな感じで目を瞑った。



「ん…?生きてる?ああ天国?まさかの?」

「やっと目が覚めたか。」

…白哉?

「どこ?」

やっぱり白哉。

「天国ではないぞ。」

「ばれた?」

「どれだけ共に過ごしてきたと思っておる。」

「お見通しかよ。」

「まあな。」

白哉がいる…。

嫌われたわけじゃない?

それとも止めを刺しにきたの?

「止めではない。」

アンタはエスパーかよ。

「何で分かんのよ?」

「お前の顔だ」

「…で何の用?」

聞くのが怖かった。

「好いておる。」

…は?

「何云ってんの?」

「お前を好いておる。」

何の話?

「…?」

「先日お前が私に云っただろう。それの答えだ。」

ああ、思い出した。

…ハズ。

顔赤くなってきた。

今度こそ死にたい。

「死ぬなよ?」

「何でわかったの?」

「お前の脳は単純だからな。」

それって私がバカってことじゃん。

「アンタは鈍感だけどね。」

「鈍感ではない。」

「鈍感の癖に。」

「うるさい。」

私は笑った。白哉も。

不器用な女と鈍感な男の恋愛話でした。

                完
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