□ドッキリ大作戦!!
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今日は六番隊隊長朽木白哉の結婚式。

相手はどこかの貴族らしい。

白哉と奏は友人。

それ以上でもそれ以外でもない。

同隊三席の奏は他隊の隊長格と共に招かれていた。

「おめでとうございます、白哉様」

着飾った貴族の女達が白哉の周りを取り囲んでいる。

その中心の白哉はニコりともしない。

「…ひま」

ざわざわとする人ごみを掻き分け奏は外へ出た。

大きな木を見つけその根元へ腰掛ける。

空を見上げれば、葉の間から入り込んだ光がまぶしかった。

「奏。」

「あ…。」

白哉だ。

正装をしているためか、いつもの凛々しさが一層引き立って見える。

「おめでと。」

「まぁな。」

なんとなくもどかしい思いが胸いっぱいに広がり奏は目を逸らせた。

「相手は?」

沈黙が怖くてどうでもいいことを聞いてしまったと思う。

「後のお楽しみだ。」

「そう。」

好きだったのに、そんな言葉が零れそうになる。

しかし自分には白哉を引き止める術は無い。

これだけ共にいたのに、自分の思いには気付いてくれないのか、と胸の奥が痛んだ。

「…もう行くね。」

なるべく顔は見ないようにして白哉の横を通り過ぎる。

「奏。」

この時間が嫌だった。

信頼しあっているはずなのに何かがずれている気がするから。

このずれはお互いのどちらかが隠し事をしている証拠。

だけどそれも今日でおしまい。

けじめをつけようと思った。

白哉から数歩離れ、くるりと振り返る。

「幸せになんなよ。…好きだったんだからアタシ。」

泣きそうになるのを堪えて。

鼻の奥がつんとした。

…と白哉が奏の手を掴んだ。

「ちょっ!!!」

振り払おうにも振り払えない男女の差。

奏から白哉の表情を読み取ることは出来ない。

そのまま奏は白哉に引きずられるようにして会場へと戻った。

「ちょっと!!いい加減に…」

声を荒げた瞬間白哉の手が離れる。

「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。彼女が私の妻となる奏です。」

白哉らしくない丁寧な挨拶。

「…は?」

白哉を見れば、奏へ向けてニヤリと笑っていた。

「ドッキリ大成功!!!!」

「乱菊!?」

人ごみを掻き分け出てきたのは乱菊。

「何で…」

「いやぁ、それが…」

かくかくしかじかうまうま

「ひどっ!!!!」

簡単に言うと白哉に頼まれたらしい。

「そう怒るな。」

「お前がいうな!!!」

「…といってもな…」

「何?」

「発表してしまった」

「あ゛ー!!!」

絶叫しても何も変わらない。

「…大事にしなさいよ。」

「無論だ。」

2人は誓うかのようにキスを交わしたとさ。

                完
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