多種

□レイニー&スター
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外はまるでバケツをひっくり返したような雨が降っている。

「ジメジメしてるよ…。」

湿気で膨らんだ髪を櫛でとかしながら奏は嘆いていた。

「しゃぁないやろ、梅雨なんだから」

「雨嫌い。カタツムリにでもなりそう。」

奏の嘆きに平子はアホか、と笑う。

「俺は雨嫌いやないけどな」

「えー!?もしかして真子の前世カタツムリとかだったりして。」

「ちゃうわ、ボケ。」

「雨だよ?ジメジメだよ?まぁ真子は髪さらさらだからいいと思うけどアタシはヤバイのよ。」

「雨はしゃぁないやろ、自然の摂理やて。」

「真子なんてカタツムリにでもなっちゃえ」

「ケンカ売っとるんか?」

「別に。」

「せやけどな、雨の後の夜空は綺麗な星が出るんやで?」

「星?真子って案外ロマンチストだね。」

「煩いわ。つかそこ突っ込むなや。」

俺星好きなんや、と小さく付け加えた。

「じゃぁ今日の夜もし晴れたら一緒に星見に行ったげる。」

「ホンマか?」

「もし、晴れたらね。」

「晴れるとええなぁ」

平子はごろりと寝転がり擬似青空となっている天井へ手を掲げた。

「そんなに星みたいの?」

「まぁな。星と奏の笑顔が一緒に見れたら一石二鳥やん。」

「ふーん」

「何やねん、その反応」

「ちょっと引いた。」

「…」

「嬉しかったけど。」

恥ずかしそうに奏も平子の隣に寝転がり擬似青空を仰ぎ見る。

「照る照る坊主つくろか。」

「うん」

二人は起き上がり照る照る坊主を作りはじめたとさ。

                  完
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