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□瑠璃色シニリズム
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「オムライスて、こんなに材料使うんやな」

「そうだよ」

「知らんかったわ」



真子が調子に乗ってお酒まで買うから、スーパーの袋は三袋。

私が一個、真子が二個。

行きみたいに手を繋ぐことができなくて、ちょっと寂しい。



「なあ、なまえ、こっちの袋、半分持ち」

「…いーよ、っ、ん!」

「ええやろ」



スーパー袋の端を持ったら、掬い上げるように軽いキス。

天下の往来、バカップルみたいなそれに、少なからず動揺した。

掴みそこねたスーパー袋を、私の手ごと真子が掴んだ。



「…バカ」

「関西人にはアホ言えや」

「…でも好き」

「俺も好き」



帰り道は行きとは違う、不自然な手のつなぎ方で帰った。

瑠璃色に変わる空の下で、私たちの影は手を繋いでいた。

ふんわりと優しくて、夕飯のオムライスがどうでもよくなってしまいそうだった。



「新婚さんみたい」

「いつかそうなるわ」

「へっ!」

「なまえに似た女の子が欲しいねん」



嫁になんか行かせへんわー、と笑う真子の顔が見れなかった。

真子との未来を夢見た。

そうなればいいと、思ってしまった。



「真子」

「なんや」

「好き」

「二度も言わんで」



絡めた指を、離したくなかった。



「…でも好き」

「俺もや、言わせんなアホ」








・end

平子さんは優しいと思う
短くてすみません(^_^;)
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