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□高杉に寝返る
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「沖田隊長ー、高杉発見しましたー。どぞー」

「無茶せずに戻ってきなせェ、どぞー」

「それじゃ楽しくないです。どぞー」

「いいから上司の命令は聞いてくだせェ。大体お前小刀しか持ってねえだろ。どぞー」

「あっ!見失いました!」

「おい!帰ってこい!……ちっ、」





辛辛、
   辛辛。





たーかすーぎはーっと。
確かここらで見失ったな。

私は真選組で唯一の女隊士だ。入りたくて入りたくて、断られても何日も屯所の前で張り込んでは、局長にお願いした。熱意が伝わってかやっとのこそで沖田隊長のところに入れられたものの、手柄は特になし。

というか、足引っ張ってる?

このままではいけないし、どうしようかなーと考えながら見回りをしていれば、偶然高杉を発見した。

捕まえられたら大手柄じゃね?


「完っっ全に見失ったわ」
「酔狂な女もいたもんだな」


声が、重なった。


「ーーーー高杉っ!!」


獲物はっけーーん!!!

何か蝶の絵柄の紫色の着物いっつも着てる気がするけど、なんなの?お気に入りなの?


「何の用だ」

「何の用?ーーん?何の用、だ、か。」


どうすれば大手柄なの?殺して首でも斬ればいいの?生け捕り?


「わっかんね!」

「気は確かか」 

「多分ね!」


まあ、生け捕りでいっか!


「お命頂戴…はしねえが、捕まってもらいましょうか!」 

「そんな小刀で何するんだ?」


くくっと高杉が笑う。うわ、片目しか見えないって怖いっていうか不気味だな。

あと、沖田隊長も言ってたけど刀に小さいとか大きいとかあるの?どっちにしろ切れんじゃん。小刀だって小さいだけで命消えんだよ?何こだわってんのか。


「小刀だって命は奪える。ーーまっ、小刀なんてただの保険で!使わないんだけどねー」

「ほぉ、じゃあ何で戦うんだ?」

「素手で。」

「その身1つでか」

「まあ。でき損ないでも、ーー夜兎さんですしっ!!」


だあんっと地面を蹴り、高く跳んだ。頭は狙う気はない。生け捕りなら、狙うは足か、腕だ。要は刀を持たせなければいい。要は逃げさせなければいい。


ザクッ


「いったー」

「お前夜兎だろ」

「夜兎でも痛みはあるんですぅー」

「この前夜兎に会ったが、痛みはなかったようだがな」

「まあ出来損ないですしー。まあ、この場合、出来損ないは高杉ですけどねっ!」


足、痛くないんですか?


さっき接近して斬られる間際、爪で深く腱を斬った。がくりと、体勢が崩れそうになるが、高杉はぐっと耐えていた。


「痛い痛い?うわー、いたそー!それじゃあ私に近づくこともままならないね!いやー、人間って脆いよねえ。どこ狙っても死ぬし。でも、」

「万斉」

「あら」


後ろから、ざっくりと。
なんてこったい。

もう一人居たなんてしらなかったよ。何て卑怯な。ずっりー。


「俺の勝ちだな」

「俺らの、だろーがよ」

「口悪ぃ女」


あーあ。
負けちった。

相手が何人とは言え、負けちった。誰にも負けません!っつって局長に言ったのにな。あーあ。クビかなあ。


「生物って弱いよね。生物って脆いよね。あーあ。クビかあ。あーあ。折角見つけた仕事が何てザマでなくなんのか!あーあ。情けね。つまんね。呆れた。もういいや、帰る。ここで、あんたら生け捕りにしたって契約破綻だもん。どっちにしろクビだし」


辛辛(つらつら)と、私は言った。


「お前クビになんのか」

「そだよ」

「なら、俺のとこにくればいい」

「マジすか。行きます!!!」

「良いのか晋助」

「まあ、騒がしいがいいだろ。なかなか忠実そうだしな」


来い、と言われて小刀を捨てて走った。

そもそもこの小刀局長からもらったし。これ捨ててったら向こうも何か察するだろう。

高杉といたらアイツとも会えるだろうし一石二鳥!

ってことで、局長、沖田隊長ありがとうございました!!




ーー捨てられた小刀が辛辛(からから)と風に揺られてた。
















なにこれって私も聞きたい。
多分アイツ=神威だと


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