Short
□3Zの卒業式
1ページ/1ページ
…またやりやがった。
はあ、と溜息をつく。完全に他人事のようだった。いや、実際すげー「自分には一切関係ない」って言いたいよ。言いたいけど! 知らねえ奴はいねぇほどの3Zきっての大問題児を前にして、それは言えねえ。
「はっはっは―! 卒業証書なんて要るか――!」
要るだろ。
なんだ? こいつはまた先生を困らせたいの? 馬鹿過ぎて高杉より大変だよ名前。
「苗字名前の3年間をこんな紙切れ1枚で終わらすつ―も―りですかああああああ!?」
うっぜ。こいつ、いつにも増してうぜえ。佐々木から来るメールよりもギザうざす!!
「落ち着け、名前」
「そうですぜ。これ終わったら騒げばいいじゃないですかぃ」
「じゃかあしい! 貴様らに我輩の何がわかるかあ!」
「厨二病ううう!!」
「もう、名前落ち着いてくれないかしら。銀さんがいつまでも私の名前を呼んでくれないじゃないの」
「…! さっちゃん名前呼んでほしいの?」
「? 普通じゃねえのか? 名前点呼」
すると、名前はどうしたことか、ふるふる泣き出した。…ふるふるなんて可愛らしいもんじゃねえな。号泣だ。
「うわぁぁぁぁぁん! みんな寂しくないんだぁぁぁぁ!! 離れちゃってもいいんだぁぁぁ!! いいし! みんななんか、音信不通になって外国で野垂れ死んじゃえ! バァーカ! うわぁぁぁぁぁん!」
「悪質ううう! 悪質じゃね!?」
「…何だよ、名前。お前寂しいだけかよ」
高杉が言うと、名前は不機嫌そうに
「………そうだよ。何か悪い?」
「別に?」
ニヤリと笑う高杉が怖かったのか、名前はバッとこっちを向いてきた。
「銀ちゃぁん、あたし卒業したくないぃぃぃ…」
(紙を破く音)
俺も卒業してほしくねえよ。馬鹿。
。