**Hide and Seek** sungyeol

□撮影の合間に
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*Sungyeol side

カシャッ!パシャパシャッ

「いいねー、いいよいいよーじゃあ次ちょっと目線はずしてーはーいおっけー。」

パシャパシャパシャッ

眩しい照明、鳴り響くシャッター音、新曲のコンセプトにあわせた衣装を身にまとい、カメラマンが次々に出してくる要求に合わせてころころと表情やポーズをかえていく…


僕たちINFINITEの今日のお仕事は来月発売の中高生向け雑誌のための撮影だ。

「はーい!じゃあ次は個人ショットいきまーす。まずはエルくんからで。」
「はい。よろしくおねがいします。」 


個人撮影のあいだは、撮影中の一人以外のメンバーにとっては休憩時間だ。

「ふいーきゅうけーい。」
「こちらに差し入れございますのでよろしかったらお召し上がりください。」
スタッフの女性が長机の上にお菓子やらお茶を用意してくれていた。

「あ、ありがとうございますっ。」

さっそく僕たちは席に座って各々が自由にくつろぎはじめた。
僕はコーヒーを飲みながらぼーっと撮影中のミョンスの様子を眺めていた。
僕の正面に座っているソンギュヒョンとウヒョンは一緒にいま僕らが撮影している雑誌の今月号を読んでいるみたいで、
ふたりの話し声が聞こえてくる。

「お、ウヒョナーこれ見て、ジンクスだってよ。」
「じんくす?」
「そ。おまじないのことだな。
 お、これどう?ぜったい効果があるジンクス、恋愛編!」
「おぉったとえば?」
「えーと、絆創膏の裏?に好きな人の名前を書いて貼るとー両想いに…」
「えぇー、なんかそれやだな。つぎっ」
「んー、好きな人の筆箱からこっそりシャーペンの芯をとって自分のシャーペンに入れて使いきると…」
「ドロボーじゃん。却下。つぎつぎっ」
「おまえ文句多いな!じゃあこれ、好きな人の上履きをー…」
「はい却下。なんかもっとこう…お互いあまり深く知り合ってない状態からスタートのとかないの?
 それ同じクラスとかそういうの限定じゃん。そもそも俺ら学生じゃないし。」
「あー?むずかしいな…ん!じゃ、これは?"初めて会ったひと、また会いたいなーと思ったらこれっ"」
「おーいいねそういうのがいい!」
「おおこれいいよウヒョナ!
 "初対面の人でもお互いに名前を知っていれば必ずまた会うことができるよ♪だからまた会いたいと思う人には勇気を出して名前をきいちゃおうっ☆"だって。 」

「それいいっ!」「だろっ?」なんて言いながらパチンとハイタッチするふたり。

その様子を隣で見ていたソンジョンが一言
「そんなんあるわけないじゃん。しょせんジンクスなんて子供騙しだし。ヒョンは…意外にロマンチストだね。」

一瞬にして空気が凍る。
言われたふたりは固まっていた

「ソ、ソンジョナ…
 お前は意外に現実主義者だな。」
「ほんと…意外。」

「そ?」


「はーいエルくんオッケーです!つぎソンジョンくんおねがいしまーすっ!」
ちょうどそのタイミングでカメラマンから声がかかった。

「はぁーいっ」
ソンジョンは返事をすると、一度鏡で自分の顔をチェックしてパタパタとカメラのほうへ駆けていった。







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