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□キスをしようよ
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机につっぷしたまま寝てしまったらしく、目が覚めたら窓から差し込む夕日でフロア一面茜色だった。もちろん他に誰もいない。
そりゃあそうだろうとぼーっとした頭で考える。
仕事は午前中で終わりで、午後からは夏休み前恒例の会社のレクレーション大会なのだから。今頃みんなボーリングを終え、二次会にでも繰り出している頃だ。
もちろん海夏も数時間前まで参加する気満々でいたのだ。そう、自分が二股を掛けられた挙句捨てられたという事実を知るまでは。
 先週別れたばかりの元彼、加藤和幸にはなんと三ヶ月前から付き合っている彼女がいるそうだ。
同じ課の、二年後輩。
もちろん海夏も知っている人物だ。社内恋愛だから周りには内緒にしておこう、という和幸からの提案で誰にも言わず四年も関係を温めてきた。今思えばそれが悔やまれる。
せめて仲の良い同期にくらい二人の関係を話しておけば、こんな仕打ちをされる事も無かっただろう、と。
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