Ichigo's Birthday♪

□魂(こころ)は君を覚えてる 1
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愛されていたことを忘れていたんだ…




一:はぁ…俺ももうすぐ死んじゃうのか…


俺、黒崎一護はもうベッドから起き上がることは出来ない。高1だった頃は死神として暴れまくってた俺だけど、高2になった夏、学校の体育の授業の時に倒れてからはずっとベッドの上だ。その時に死神としての力も剥奪されて、大切な人さえも失った。


一:くっ…はっ…はぁ、はぁ…

ル:一護っ、大丈夫か!?

一:ル…キアッ…わ、りぃ…お、おや、じ…

ル:あぁっ、待っていろ!


あぁ、本当に時間がない。自分でも分かってしまう。発作も日に日に起こる回数が増えている。苦しい時に昔ならいつでも大切な人が側にいて手を握ってくれていた。そんな人さえもう俺にはいない。いっそのことこのまま死んでしまうのもいいのかもしれない。そうすれば尸魂界に行って、頑張って死神になって、あいつに、大切なあいつに会える…。あ…でも死んだら記憶なくなるんだっけ…?

大切なあいつっていうのは俺の恋人。出逢いは最悪だったけど、いつの間にか好きになってて。優しくて、暖かくて、甘えるのが苦手な俺でも自然と甘えることが出来る唯一無二の存在だった。なのに俺がこんな病気になって、虚討伐が出来なくなって、四十六室は簡単に俺を切り捨てた。その時恋人だったあいつは俺に関する記憶をすべて消された。ルキア達は俺を覚えていてくれているのに、一番覚えていて欲しい人は覚えていてくれない。


心:一護っ!大丈夫だ、ゆっくり息しろ

一:すぅ…はぁ…はぁ…ごめん、親父

心:何弱気になってるんだよ…。お前らしくないぞ?

一:だって、だって、俺っ…(泣)

ル:一護…

心:泣くな、息、苦しくなるぞ?ほら、笑え。お前は死んだりしない

一:無理だ、よ、分かるんだ…

心:なら、生まれ変わってこい。待ってるから

一:…バカだなぁ親父は…っ、おふくろ居ねぇんだから、無理だろっ(泣笑)

心:あ、そうだったな


そうだ、バカだよ。俺が一番バカだ。こんなにも愛してもらってるのに。こんなにも必死になってくれる人がいるのに。死にたいだなんて。本当はただ死ぬのが怖かっただけだ。たくさんの時間はない。でもまだ少しは時間はある。なら俺のすることはひとつだ。
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