Ichigo's Birthday♪

□魂(こころ)は君を覚えてる 10
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伝えると決めたのだ


【白哉said】

“一護と俺は恋人だったんすよね?”

先日、恋次にそう聞かれて、性にもなく慌ててしまった。そして、先程檜佐木から恋次が一護を思い出し始めていると聞いて、やっぱりこの二人は一緒になるべきだと、思った。


白:一護、入るぞ…

一:白哉兄…

白:大丈夫か?

一:ん…喉乾いた…

白:わかった。少し、起こすぞ


一護はあの事件の後、邸から出なくなり、水以外何も口にしなくなった。そのために起き上がる気力がない。点滴でなんとか命を繋いでいるが、せっかく病気を治したのだ。事件のショックと恋次のことでの精神不安が重なったことの反動だろうと卯の花隊長に言われた。


一:ありがと…

白:何か食べる気にはならないか?

一:お腹、空いてないから…ごめんね…

白:謝らなくていい。少し縁側に出よう、今日はいい月が出ている

一:うん…


一護、今お前を救ってやれるのは恋次だけだ。だから檜佐木が約束を破ったことを許してほしい…。すまぬ、一護…。


白:一護、

一:何…?

白:今日、檜佐木が来てな

一:檜佐木さん…?

白:あぁ。恋次が、一護を思い出し始めている、と言っていた

一:っ!?…嘘…

白:いいや…。現に、私にも恋次は一護と恋人だったのかと問うてきた

一:そっか…思い出してくれたらいいな…。でも付き合ってたことは思い出してほしくないよ…

白:どうしてだ?

一:恋次には普通に女の人を好きになって、普通に結婚してほしいから…
白:普通とはなんだ?愛している者と一緒になって幸せになることは普通ではないのか?

一:っ…

白:一護、事件の前の一護は恋次に愛されたいと願っていたではないか。恋次を信じているから恋次との思い出の場所に足を運んでいたのだろう?

一:知って、たの…?

白:休みのたびに同じ場所に霊圧を感じたらそう考えるのが当たり前だ(苦笑)

一:そうだね…。また、愛してもらえたらいいのに…。

白:もう一度恋次を信じてやれ。もうすぐ一護達から想い出言葉を言付かった者達が邸に来る。

一:…どうして?

白:恋次に伝えることにしたのだ。

一:そっ、か…。

白:一護、もう十分苦しんだだろう…?恋次とて思い出したいと泣いていたのだ…

一:恋次、が…?

白:あぁ…実際見たのは檜佐木だがな…。


そう、泣いていたと言うのだ。あんなに幸せそうだった二人は引き離されて…。愛した者と離れる辛さを私はよく知っている。触れられる距離にいるのだ。記憶がない、ただその壁だけなのだ。壁を壊す、記憶が戻る手掛かりがある。壊せば辛くとも幸せになれる。ならば壊す方を私は選ぶ。


一:ねぇ、白哉兄、俺も行っていい?

白:…もちろんだ(微笑)

ル:兄様、一護、入ります

一:ルキア姉、お帰り(微笑)

ル:あぁ、ただいま(一護の頭撫でる)兄様、揃いました

白:承知した。一護、行こうか

一:うん

ル:え…?

一:ルキア姉、俺も、もう逃げないで向き合うよ

ル:……。そうか(微笑)


ルキアに向き合った一護の顔は事件の前に戻っていた。これから徐々に回復していくだろう。
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