イベント短編。
□2011'Halloween
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10月31日、Halloween。
日本にはあまり馴染みがない。
祭日でもない。
恋人の行事でもない。
なんにせよ、私には関わりのないものだ。
「ハロウィンに学内パーティーあるんだってっ。」
「知ってるっ!仮装してなんかやるんでしょ。」
「面白そうじゃない♪」
女子大生は気楽なものだ。
ただのコスプレも、仮装といえば聞こえが良い。
そんな話はいい。
私の話を聞け。
板書しろ。
授業中だ。
「…では、今日の授業はこれまで。」
ベルより前に終える。
浮き足だったやからに、これ以上教えることはない。
試験で苦しめ。
「コメントシートの記入を終えた者から退席してください。」
こんなもので、平常点を与えるつもりはない。
出席確認。
代返など認めない。
「コメントシート、どこへ置けば良いですか?」
「…教卓で構わない。」
綾瀬美華。
いつも、誰よりも早く退出する。
だが、コメントシートにはいつも的確なコメントが記されている。
1人で授業を受けている。
1番後ろに座る。
着席時の姿勢が美しい。
ぼんやりとした表情が特に印象的。
「……。」
他の生徒がまだいる中、提出されたコメントシートを見る。
『現代の教育は、道徳より教科を重んじる傾向を強く感じました。アメリカでは教会が道徳を説き、スクールが学問。分離的に見えて、効率的。だけど、自ら感じて学んで欲しいです。私が教師になった際、どう考え、伝えていけるのでしょうか…。』
「……。」
今までにないパターンだ。
感情的な内容は、今回が初めてだった。