『恋愛マニュアル。』

□年上・インテリ系・普通
1ページ/18ページ


後期が始まった。
1年の頃は年間を通して専門科目が履修できなかった。
でも、2年は逆。
専門科目ばかり。
特に後期は実習が多い。

「次って調査実習?」
「うん。」
「私パソコン苦手だから、やる気出ない…。」
「咲希の隣私座ってるし、教えるよ。…まぁ、統計ソフトは無理過ぎるけど。」
「全然OKっ!ありがとうっ。」

私達は相変わらず2人でつるんでる。
1回目の講義ということもあり、少人数授業だけど席の指定はまだない。

「ってか、奥村って、誰?」
「講師の先生らしいよ。」
「へー。」

奥村先生はまだ会ったことがない。
今年から講師として赴任してきたらしく、授業も1つしか担当していない。
なんでも、他大学との掛け持ちらしい。

「…イケメンかな?」
「咲希。寝言は寝てから言うものだよ。」
「うぅ…。」
「この大学に期待したらダメ。」

この1年半、ことごとく裏切られた。
猿について熱く語る、胡散臭い笑顔の教師。
フィリピン人の愛人がいるらしい、熱狂的キリスト教徒の教師。
広い講義室もぐるぐる回りながら授業を行う、声の小さな教師。
皆癖があって、あまり関わり合いたくない。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ