『恋愛マニュアル。』
□年上・根暗系・やや奥手
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気付けば秋は過ぎ去り冬がやってきた。
冬はまさに恋の季節。
恋人達が浮き足立つ。
「もーいーくつねーるーとー、く、り、す、ま、すぅー♪」
「……。」
「クリスマスにはーるるるるるー♪」
「…楽しそうだね。」
鼻歌のつもりが、ガチ歌になっていた。
楽しい気持ちが溢れ出る。
そんな私を、冷たい視線が見つめてる。
咲希は彼氏と喧嘩中。
楽しいはずがない。
「楽しくないよ。」
満面の笑みで答える。
氷点下のため息。
だけど、私は気にしない。
「彼氏いない私は、クリスマスをバイトに捧げるのさ。」
「いてもバイトに捧げるのさ。」
同じような内容なのに、声色が違う。
やっぱり、仲直りして一緒に過ごしたいんだろう。
シフト提出日まであと5日。
1ヶ月単位でシフトを出す咲希のバイト先。
すでにカウントダウンは始まっている。
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《lesson1》
『友達のために。』
良い女は他者に対して良い人であれ。
いつか自分に返ってきます。
・偶然を装って相手の話を聞く。
→例えば道であった時。
・双方の意見を始めに聞き出す。
→どちらかを擁護してはいけません。
・深入りしない。
→負の連鎖がおこり友人を無くします。
さぁーあなたも、レッツトライ゚+。(*′∇`)。+゚
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咲希と彼氏の喧嘩はよくある。
でも、今回はなかなかどちらも折れない。
「あーっ、まじムカつくっ。」
「まぁまぁ。」
喧嘩の原因は、咲希の部屋にあった元彼からのプレゼント。
別れた後も友達。
先月の誕生日にプレゼントをもらった。
それを遊びに来た彼氏が見つけ、浮気を疑われ中。
「あっちだってもう彼女いるんだし、問題無いじゃんっ。」
「怒るくらい咲希が好きなんだね。」
「うっ…。」
照れてる。
学科内で有名熱愛カップルだけに、否定はできない。
普段は穏やかな咲希も、彼氏が絡むと感情的になる。
お互い大好きなのは伝わってくる。
「よしっ。須藤さんに任せなさい。」
「…いや。」
「謝れる?」
「無理。」
このままじゃらちが明かない。
大切な友人の憂いは、ちゃんと晴らしてあげたい。
咲希がトイレへ行くのを見計らい、こっそり携帯を開いた。