□肝試し
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天真爛漫な彼だったが、廃墟の中に入ればヒシッと僕にひっついた。

強がり、苦笑。

怖いのか?heroなくせに。



「…幽霊とやら、出て来ないな。やはりハッタリか。」



「い、いや…居るだろ…まままだ、す、進むぜ…。」



荒れて崩れ落ちた、壁や家具。
懐中電灯で照らす度、不気味度が増す。
ガシャン、グリッと硝子や破片を踏む度、音が部屋に反響した。



「ソニック、大丈夫か?さっきから呂律が回っていなかったり震えたりしているが…」



「え?そそそんなわ訳、ねえよ…ふ、震えてないから…」



「その割に、手を握っているのは何故だ?」



「それは、その…//」



しかし、



――カシャン。



手に持っていた懐中電灯の光が突然消えた。
しかも、先程よりも周りの空気がおかしい。



「な、何事だ?」



「幽霊じゃないのか…?は、早く帰ろうぜ…」



「自分で確かめると言ったのに帰るのか。」



「だ、だって…」



「弱虫め。」



「うぅ…うるせぇ…」



仕方なく僕は彼を姫抱きにし、不気味でおかしい空気の中、瞬時に離脱した。
ギューッと、幼子のように僕にしがみつく彼。



「…すぐここから出る。幽霊が居ても居なくても、どうでもいい。」



「…何かごめん。」



「謝る事…ない。」



走りながら、彼の頬に口付けた。
ポッと彼の頬が紅くなった。



しかし相変わらず不気味な空気は消えない。
むしろ、追いかけられている…



『…ウォォ!!』



『…ヨコセェ…ヨコセェ…!!』



不気味な声が聞こえる。


「し、シャドウ…後ろ…幽霊が…俺を、引っ張ってくる…嫌だ…あああ!!!」



「ソニック!!落ち着け!!!」



後ろを振り向けば骸骨みたいな幽霊が追ってきていた。

ソニックは発狂して、泣き叫んでいた。



「誰があんな奴に、君を渡すものか!」



僕は足止めさせるために幽霊に向かってカオススピアを放った。
その隙に僕は走り出す。


丁度走っている道の先は窓だ。



間に合えっ!!!



ソニックを護るように抱きかかえ、そのまま窓に突っ込んだ。

後ろを振り返ったが幽霊は追ってこなかった。





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