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□雪舞う聖夜
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「お前は…!」
ケーキ屋の隅にあるテーブルに意外な奴がいた。
あちらもこちらの様子に気付いたようでこちらを見て、意外という感じで目を見開いた。
「…!!!」
周りに人がいない店の隅にあるテーブル座っている人物…緑のハリネズミ、スカージがそこにいた。
「テメェが何でここにいるんだよ。」
ソニックだけに聞こえる声で悪態をつくスカージ。
「それはこっちのセリフだ。何でお前が(異世界から)こっちに来ているんだ。」
「たまにはこっちの世界に俺がいたって悪くないだろ?」
ニヤリと笑う。
ソニックは気にくわないといった様子でスカージを睨みながらスカージからさほど離れていないテーブルに座る。
一方相手はこちらの様子を探るようにこちらを睨みつけてくるが、殺気は放ってはいなかった。
「…ハッ、まさかテメェがここにいるなんてな…意外だ。」
「その言葉、そのままそっくり返してやるぜ。」
ソニックはスカージを警戒しながらシフォンケーキを一つ注文。
スカージの方をちらりと見れば、彼はガトーショコラを口に運んでいた。
「…異世界からどうやって来た?」
シフォンケーキがやってくる。
それを食べながらスカージに質問した。
「ベリアル・アナーキーを使った。」
「…カオスエメラルドか…。」
スカージの住むアンチモビウス星というところではカオスエメラルドと似たような宝石のことをべリアル・アナーキーという。
スカージはそれを使ってこちらの世界にやってきたというのだ。
「こっちの世界ではテメェ以外、俺の事を知る奴がいないからな。つまり、こっちの世界ではやりたい放題だ。」
「やりたい放題やられては俺が困るんだが。」
ソニックにそう言われるもスカージはそれを無視する。そしてスカージは店内を見回した。
「それに今日はケーキを食べたい気分でこの店にやってきた。ここのケーキは上手いし、ここの雰囲気は嫌いじゃねえ。」
スカージからそんな言葉が出てきてソニックは目を見開いた。
スカージがそんなことを言うなんて…あり得ない。
「普段悪さばかりするお前がそんなことを言うなんて珍しいな。頭がイカれたか?」
「テメェ、殺すぞ。」
そしたら今度こそ殺気を含んだ瞳で睨まれた。
よかった。普通のスカージだ。
しかしそれだけここのケーキは美味しいというのが分かった。悪者でさえも美味しいと浄化するこの店は凄いな。
「……また何か企んでいるのか?」
ソニックは警戒心を弱めずにスカージに問う。
「企んでいたらテメェはどうする?」
スカージがニヤリと口角を上げてこちらを見た。
その目は色っぽさを含んでいて。一瞬その瞳に吸い込まれそうになった。
「…、俺がその企みを阻止してやるよ。」
そう言ったらスカージはふっ、と鼻で笑って残りの一口をパクリと食し、その席から立ち上がった。
「生憎、今日はそういう気分じゃあねぇ。」
スカージはソニックの首にゆるく片腕を巻きつけ、
「ソニック。」
「……何…「俺に付き合え。」…なっ…!!?」
何か攻撃されるかと身構えていたら、その逆で。予想外の行動にソニックは目を見開く。
「…w、What!!?」
「テメェ、どうせ暇だろ?こんな日に誰かを待っているっていう面じゃねぇしな。だろ?」
そしてスカージはまたニヤリと笑う。
"こんな日に"というのだから今日はクリスマスだということも分かっているだろう。
つまり、全てお見通しってわけだ。
「……っ、」
上手く頭が回転することができず、断るどころか返事を返すことができず、思わず目を反らしてしまう。
「だから今日は俺の用事に付き合え、ソニック。」
そしたら耳元で悪戯っぽく囁かれた。
低音で掠れてて、そんな色っぽい声で自分の名前を呼ばれたらたまったもんじゃない。
「〜〜〜〜っ!!」
羞恥心故に顔に熱がたまっていくのが分かる。ついでに心臓もドキリと跳ねる。
あ、相手はスカージだぞ!いつ何かされても可笑しくないのに、何で心臓ドキドキさせているんだ俺!
心臓止まれっ!心臓止まれーっ!
ドクン、ドクン…ドクン……ピ―――――
そしたら心臓が本当に停止した。本当に。
………って心臓停止させたらマジで死ぬだろっ!!!
何とか心臓を動かし。息を整えるソニック。
はぁ…はぁ…落ち着け俺。落ち着くんだ。
まず奴は極悪人、いつも悪い事を企てる奴なんだ。何度か俺を殺そうとしていたし、殺されそうにもなった。
俺から見ればスカージは敵である。
だが、どうしてだろうか。
「俺に付き合え」と誘われた。
ただそれだけの言葉なのに嬉しいとばかりに俺の心臓が跳ねるんだ。
…!もしかして俺はスカージのことが好きなのか!?
いやいやそんなことはあるはずがない。
そんなことあるはずは……
「決まりだな。」
返事をせず、無言で葛藤しているソニックを見て、スカージはOKと受け止めたようだ。
ソニックは反論しようとしたが、スカージの方を見たら、彼は笑みを浮かべていた。何かを企んでいるような妖しい笑みではなく、純粋に嬉しいと思っているような笑み。
その笑みに魅せられて反論する気をなくしてしまったのだ。
別に嫌だというわけではないんだけどな…っ
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一歩間違えれば裏小説に入るところだったwww
そしてまさかのツンデレひゃほーい(^p^)←