表
□So in "luv"
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クリスマス シルソニ
(※ソラリスの炎が消えても記憶がある設定です)
旧ソレアナ城下町にあるソレアナ城にて催されているエリス王女主催のクリスマスパーティー。そこにソニックたちは招待されていた。
幾多の世界や土地を共に冒険した相棒のテイルスと一緒に参加している。もちろんエミーやナックルズ達もだ。その他GUNからはルージュが参加しているがシャドウとオメガは興味ないの一蹴で不参加とのこと。アイツららしいなと思いながら辺りを見回せば、そこにはシルバーと異世界の皇女としてブレイズもパーティーに参加していた。
「よっ、シルバー!久しぶりだな!」
白い背中に向って声を掛ければこちらに気付き、久しぶりだな!と満面の笑みを浮かべこちらに駆け寄ってきた。
「元気にしていたか?」
「ああ!そっちこそ元気だったか?」
「まあな。ところでブレイズとは一緒じゃないんだな。」
「ああ、何だかブレイズは話が盛り上がっていてな…。」
シルバーが視線を向けた場所にソニックも目線を向ければブレイズはエリス王女と話に花を咲かせていた。王女という同じ立場の者同士、話が合うのだろう。
元々あまり人と関わるのが苦手なブレイズがこうして他人と会話出来ているのは結構な成長ぶりだ。クリームや同郷のマリンのおかげだろう。それを知ってかシルバーも嬉しそうにブレイズの様子を見ていた。
ソニックも彼女たちを微笑ましく眺めていたが、ふとシルバーが片手に食べ物がとんでもないくらいに盛られている取り皿を持っているのが視界に入った。
…何か量、多くね?
取り皿には各食材が盛られているのが分かるが問題はその量だ。溢れんばかりに食べ物が盛られていて今にも零れ落ちそうである。やばいぶどうが落ちそう。
「…シルバー、その量は些か盛り過ぎじゃないか…?」
心配の声をかけようとしたらポロリと一粒ぶどう皿からこぼれ落ちた。あ、落ちる、と言おうとした途端、先ほど落ちたぶどうが空中停止した。
シルバーのサイコキネシスだ。
「ああこれか!このくらいなら食べきれるぞ!ここの料理が凄く美味しくて端から盛っていったらこんな量になっちまった!この時代の料理は最高だな!!」
ははは、と笑いながら空中停止していたぶどうを口元へ移動させ口内に放り込む。いやそういう問題じゃないんだが、と言おうと思ったが美味しそうに食べるシルバーを見たらどうでも良くなってしまった。まあ料理は確かに美味しいものばかりだからな。俺も食事を堪能するか。
シルバーの食への関心に毒気を抜かれたソニックも腹を満たすことにした。時折シルバーに「これは美味いぜ」と食べ物をオススメしながら共にソレアナでの懐かしき記憶を共有し語り合った。
・・・
「なあシルバー、サンタに欲しいものは頼んだのか?」
たらふく料理を食べた後。
腹だけでなく話も膨らませていた2人はパーティー会場からバルコニーに移動していた。
「サンタとは何だ?あとそこらじゅうでクリスマスという言葉が聞かれるんだがそれは何だ?」
興味本位で訊ねてみたら、彼はきょとんとした表情を浮かべ知らないと答えたことにソニックは瞠目した。
クリスマスを知らないだって?ウソだろ?
彼の純粋な反応に吃驚したが、よく考えてみれば、シルバーが生きる時代までの約200年間(ルージュ情報)イブリースと戦争状態であった事を思い出した。そういえばそうだったな。クリスマスが忘れ去られるのも無理ないわな。
俺はサンタがいるとかいないとか別にどちらでも良いがクリスマス自体は好きだぜ。エッグマンがサンタになったらそれはそれで面白そうだな。
エッグマンのサンタ姿を想像してソニックはプッと笑う。
あ、いけね、シルバーのことを忘れていた。
しっかしイベント好きそうなシルバーがクリスマスを知らないなんて損してるぜ。これは是非とも教えてやらないとな。
サンタがいる前提で子どもに教えるように、ざっと簡単にサンタとクリスマスについて説明すればシルバーは子どものように目を輝かせた。
「サンタにお願いすれば何でも貰えるのか!クリスマスってのは凄いな!」
「叶えるのは1つだけな。でもサンタにも限界があるってこと忘れるなよ。」
「ああ分かってる。ソニックは何をお願いするんだ?」
Ah―俺かー。
突然自分に棒が振られ顎に手をあて考えた。自分の事なんて何も考えていなかったので戸惑う。うーむ、何も考えてなかったからなー。なんて答えようか。
「そうだなー、俺はたらふくチリドッグがもらえるように願うとするかな」
とりあえず一番無難な願い事を言っておく。本当に俺の好物が沢山もらえればいいけどな!
ハハハとジョーク混じりに言えばシルバーはそういうのもあるのか。と感心していた。
「好きなものを沢山、か…。なあソニック、クリスマスってのはサンタだけじゃなくて俺がほかの人にクリスマスプレゼントをするってのはやっても良いのか…?」
「ほかの人にプレゼントか? HAHAHA!何を言い出すかと思えば!」
クリスマスってのはサンタが忙しいからその代わりに親が子にプレゼントしたり、友達や仲間同士でプレゼントし合う事もあるんだぜ?
そうシルバーに説明した途端、彼は顔を輝かせ満面の笑みを浮かべた。
「へー、そうなのか!じゃあ俺がソニックにプレゼントを贈ることもできるんだな!」
そう言った次の瞬間、突然シルバーが視界から消えた。おいシルバーどこに行ったんだ。言葉を口に出そうとした矢先、自分の頬にふにゅりとした感触が伝わった。
え、今何が起きて…?
「へへっ、これは俺からのクリスマスプレゼントさ!」
再び視界にシルバーが戻ってきたと思ったら彼は照れくさそうな顔をして鼻を指で擦りながら笑う。
待って?俺、今何された?自分の頬にふにゅりと柔らかい何かが伝わったぞ。いやそれは夢か。うんきっとそうだ。疲れて幻を感じていたんだ。気を取り直して訊いてみよう。
「シルバー、今のは一体…?」
「え、キスだけど?」
―やっぱりキスだったかーっ!
先程の出来事でフリーズから活発に動き始めた脳が自分の意思とは関係なく物事を理解し始めて、頬が熱くなる。
嘘だろ、嘘だと言ってくれ。
ソニックは頭を抱えた。どうしたものか。エミーにほほキスを強要されることはたまにあるが、相手からされることは全く無かったから余計顔に熱が集まる。今のは何なんだ、と言おうとしてもうまく口が回らない。頭を悩ませているとシルバーが顔を覗き込んできた。
「…もう一回してほしいのか?」
「なっ、なっ、違っ…!」
なんということだ。先程までクリスマスに目を輝かせていたピュアなシルバーがグイグイ攻めてくる。
彼の問いに否定しようとしても動揺して口がうまく回らない。そうこうしているうちにシルバーが口を開いた。
「この際だから言うが、俺はソニックのこと好きだぜ?サンタに頼んでお前を口説き落せたらな、とか思っていたんだ。」
「へっ、ぁ…うあ、」
こんなの予想外だ。自分への好意について暴露し始めたシルバーにソニックは赤面せざるを得なかった。と思っていたその時、バルコニーにブレイズがやってきた。
「シルバー、王女に呼ばれているぞ。早く行って来い」
どうやら王女がシルバーと話したがっているらしい。それを聞いてシルバーは行くと返事をした。
やっと解放される。熱冷ましにパーティー会場からそっと抜け出そう。そう思っていたソニックだったが。
「ああ行ってくる!じゃあソニック、また後で話を聞かせてくれよな!逃げるなよ!」
「あ、ああ…」
何ということだ。俺、返事に咄嗟に頷いてしまった。奴はブレイズには背中を向けていたから彼女はわからなかったかもしれないが、俺はバッチリ見えてしまった。あれは完全に捕食者の目だ。逃げたら絶対後で何かされるパターンだやばいどうしよう。
いつもの好青年な調子に戻ったシルバーは颯爽とパーティー会場の方へ向かっていってしまった。
「どうしたソニック?顔が赤いぞ?」
ソニックの様子にブレイズが心配してくる。
なんでもない大丈夫だと返事をしつつ、熱の集まった顔を片手で覆いながらシルバーから上手く逃げる策を必死で練った。
終わり。
あとがき
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シルソニピュア(風味)小説でした。
メフィソニよりギャグテイストです。
子どもっぽい雰囲気からの不意打ちでグイグイ行く攻めは好きです。からの大人な攻めになってえっちい雰囲気とかに展開したら最高ですな(自粛)
大変遅くなりましたが2013年のクリスマス小説でした。お粗末様!
急いで書いたものなのでそのうち手直しします。
鷹姫。
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