□Giocattolo
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スカージは嬉しそうに口角を上げ、ソニックを見る。
久々に見たスカージは以前と変わらず喜々としているが、いつもと違ってどこか狂気じみていて嫌な感じがした。



「久々の対面だっていうのに、何だそのツラは。」



ニヤニヤと笑い、ソニックを挑発する。



「お前こそ、そのツラはどうしたんだ?」



ソニックは落ち着いた声で喋り始める。



「お前最近、街をぶっ壊してばっからしいな。だけど街に被害は出ても、住人に被害は及んでいない。」



ソニックはスカージに問うような視線を送る。



「ただがむしゃらに建物を壊しているとしか思えない。お前は一体何がしたいんだ。八つ当たりか?」



しかし、スカージはそれを聞いた瞬間、枷が外れたかのように笑い出した。



「…ククク…ッハハハハハハハハハッ!!!」



いきなり笑い出したスカージにソニックは眉間に皺を寄せた。



「…!?」



それでもスカージは笑い、そして、笑いが収まったところで言葉を口にした。



「違う次元の"俺"にしてはエラく鈍感だなァ」



そう言った瞬間、ソニックの視界から消えた。



「……ッ!?」



スカージが攻撃を仕掛けてくるだろうとは薄々感じてはいたが、出遅れてしまい、敵の姿を見失ってしまった。



「…っ…どこにいやがる…!」



「街をぶっ壊したのは八つ当たりじゃねェぜ。」



スカージの声が聞こえる、と思ったらガチャリ、と近くから音がした。

その音に嫌な予感がした。



「一体何をしようと…っ!?」



動こうとして手を動かそうとしたら、思うように手が動かず見ればなんと両手に手錠がかけられていた。



「…な…っ!?」



「見ねェうちにスピードが鈍っちまったようだなァ。」



スカージがソニックの真後ろに現れ、耳元で囁く。



「なぁ音速の針鼠さんよォ。」



その色気の篭った声にソニックはぶるりと小さく震えた。



「……っ」



「俺が何をしようとしているのか教えてやろうか?」



スカージはソニックを後ろから押さえつけ片手でソニックを押さえつけたまま、もう片方の手でソニックの足も錠で封じる。
一方ソニックは反抗しようとしても、以前のスカージより力が強くて身動きがとれなかった。また、咄嗟にカオスコントロールを使おうかと思ったが、残念なことにカオスエメラルドを持っていなかったため、何もできなかった。

スカージに両手足を封じられ身動きがとれないソニックに対し、スカージは新しいものを見つけたというような嬉々とした表情で話し始めた。



「俺は今までぶっ壊すことを遊びの一つとしてやってきたが、最近新しい"玩具(タカラモノ)"を見つけてな。」


それを手に入れようとしているのさ。

スカージの手がソニックの背中をするりと撫でる。
たったのそれだけなのに。
不覚にもソニックは感じてしまい、ビクンとカラダが震えてしまった。



「……っあ!」



続けてスカージは尻尾を逆撫でする。



「…ひ、んっ!」



今までシャドウに開拓されてきたので体のあちこちが感じやすくなってしまっていた為、声を我慢しようとしても自然と出てきてしまう。
スカージはその反応にニタリ、と口角を上げた。



「へぇ…随分と感じやすいカラダになっているんだなァ…?ソニック。」



「…ち、違っ…!」



それが本当であっても嘘であると否定したのに、スカージの手はソニックの尻尾をゆるゆると逆撫でし続ける。



「…っ!!そ、そこは…!」



「あァ、言い忘れてたが…」



スカージは懐から何かを取り出すと、素早くソニックの口の中へ放り込んだ。
突然の口内の異物にソニックは吃驚した。
…が、スカージは口内の異物を吐き出させないようにソニックの口を開かないように手で固定し、鼻をつまんだ。



「……!!!」



生き物は口を抑えられ、鼻をつままれた状態になると、口内にある異物を飲み込んでしまうという生理的現象がある。
ソニックもその一人で、不覚にもその口内に放り込まれた何かをゴクンと飲み込んでしまった。



しまった…!!!



スカージはそれを飲んだことを確認すると手錠はつないだままだが、ソニックから手を離した。
ソニックはしめたと思い、逃げ出そうとしたが次の瞬間、視界がぐわんと揺れた。



睡眠薬か…っ



チッと舌打ちをする。
薬が効いてきたのを見てスカージは嬉しそうに舌をチラつかせながらソニックを見やる。



「今回の騒動はお前をこの世界に呼ぶために起こしたんだよ。」



それを聞いて、意識が朦朧としつつあるソニックは眉間にしわを寄せてスカージを見る。



「ソニック・ザ・ヘッジホッグ、俺はお前に会いたかった。」



そしてこう言葉を放った。



「お前という"玩具(タカラモノ)"を手に入れるためにな。」



そう言ったスカージの言葉を最後に、ソニックの視界はブラックアウトした。
スカージがニタァと笑っていたのが見えた。


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