□So in "luv"
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クリスマス メフィソニ
(※過去小説との繋がりはありません。ソラリスの炎は消えてますがメフィレスいます。妄想てんこ盛りです。)



「やあ。久しぶりだね。」

突然闇の中からぬっと現れたのはオスのハリネズミの姿をした究極生命体…ではなく、禍々しい超次元生命体であった。





時は少し遡って、夜のソレアナ新市街。雪がしんしんと積り始めているにも関わらずクリスマスの盛り上がりであちこちでは色とりどりのイルミネーションが飾られ、野外スピーカーからはクリスマスに合わせた音楽が流れている。繁華街の各店頭にはツリーやリースが飾られており、柱や窓にはセールの張り紙が点々と貼られ、店の人たちが売り出し文句を客を呼ぶ。家族連れで店の商品を吟味する人たちもいれば、カップルでペア商品を購入する人もいる。端から見れば賑やかでとても幸せな光景だ。そんなクリスマスの雰囲気の中、自分へのクリスマスプレゼントとして屋台でチリドッグを購入したソニックは、雰囲気を楽しみながら一人で食べ歩きをしていた。
一人とか寂しいだって?そんな事言った奴誰だ出てこい。今回はお忍びで遊びに来ているんだよ。お忍びでな!

そう、今回は一人行動だ。幾多の世界と土地を共に冒険した相棒は、エリス王女主催のクリスマスパーティーに参加している。もちろんエミーやナックルズ達もだ。俺もクリスマスパーティーに呼ばれていたんだが、ちょっと肩身が狭くてだな。高級な肉だけつまんで、途中で抜け出してきた。サボりじゃないぞ!!
人の声と光が溢れる中チリドッグにかぶりつく。

「んーっ!やっぱチリドッグが最高だな!」


ジューシーなソーセージとパンの組み合わせと言ったら最高だな。それに加えてピリッとしたチリソースがマッチしてたまらなく美味い。どんな高級な食べ物でも大好物のチリドッグには劣るものだと思いながらあたりを見渡す。
以前ソレアナ新市街のクリスマスイブに来た時があり、その時も大分賑わっていたが今回はイルミネーションの量が圧倒的に多く、比べようが無いほどの光の装飾によって新市街は煌びやかな街と化していた。確か観光パンフレットにもソレアナのクリスマスイルミネーションは有名だと書かれていたなそういえば。
その景色の中で好物を食すのも乙なものだと思いながらチリドッグをもう一口かじりついた時、ビルとビルの合間で何かがぬるりと動いたのが目に入った。
…なんだ今のは。
最初はネズミか何かが通ったのかと思ったが、ネズミにしては大きすぎる上に蛇のようにぬるりとは動かない。
気のせいだったのかと思った時、何かがまたぬるりと動いて姿を捉えた。それは黒い影でゆるゆると路地の奥へ向っていく。まるでソニックを誘うかのようだ。


「へえ、俺と遊ぶのか?」


その誘い、乗ってやるよ。そう言うと黒い影はソニックを案内するかのようにスピードを落とし、一定のスピードを保ちながら路地裏に入って行った。
残りのチリドッグを口に放り込み、口角を上げたソニックも後を追いかけて路地裏に入っていった。



黒い影を追いかけしばらくすると、開けた場所にたどり着いた。繁華街の光もあまり入らない薄暗い場所。唯一チカチカと切れかけた一本の街灯がソニックと黒い影を不気味に照らす。見渡す限り、たどり着いた場所は先が無く行き止まりで、今通った道以外他に抜ける道は無かった。


「Hey、追いかけっこはもう終わりか?」


冗談気味に黒い影に向って声を掛けたら、驚くことに返事が返ってきた。


「ふふふ…捕まったのは君さ。」


「…?」


What?一体どういう…。
疑問を口にするよりも早く、黒い影からずるりと影が這い出てきた。
それは黒いハリネズミの姿をしたシャドウ、


「やあ。久しぶりだね。」


…ではなく、超次元生命体ソラリスの片割れ、メフィレスであった。蛇のような鋭い瞳孔を収めた毒々しい翠の瞳がこちらの姿を捉え、低くて妖しい声で冒頭の言葉を述べる。


「君を探していたんだよ。」


喜色(といっても無表情だが)を顔に浮かべてソニックに声を掛ける。


「何だ?また俺と戦うのか?」


シュッと格闘技のポーズを構えた。
実を言うと、ソニックは一度メフィレスの襲撃を受けている。一度エリスと行動していた際、エリスの涙を誘える存在…イブリーストリガーのソニックを殺害しようとするがソニックに同じ手は利かず、逆に返り討ちに遭い手も足も出ないままフルボッコにされてしまったのは良い思い出である。
もう少し根の深い話をすれば、実は今現在ソレアナ公国にソラリスの炎は存在しない。過去にソラリスの暴走を食い止めた後にソニックとエリスで炎を吹き消したからである。炎は存在しなかった事になっているが事件に巻き込まれた当事者たちは炎が消失するまでの経緯を記憶している。
では何故メフィレスが存在するのか。
それはこのメフィレスは炎がまだ存在する別分史から来た別次元の存在だからである。ソニックも別分史のメフィレスだと認識しており、メフィレスもこの本史では炎が存在しないことを把握している。この本史の炎の消失による原因を求め初めて訪れた際に一度ソニックと遭遇していたのだ。ただ計算外だったのは消失してから時が8年経過しており、冒険を繰り返してスーパー化せずとも敵を倒せる程ソニックが強くなっていたことである。


「残念。今日は君とお話をしたくて来たのさ。」


無表情からにっこりと、純粋…ソニックからは邪悪にしか見えないが、笑みを浮かべぬっとソニックとの距離を縮めた。
正直言ってとても近い。少しでも動けば鼻と鼻が触れ合う距離だ。
へえ…、俺とお話、ねぇ…
眼前に迫るメフィレスに若干引き気味になるが、余裕を崩さずメフィレスの出方を伺う。


「君は…僕たちがいない世界の君は強くなっていく。僕たちの予想の範疇を越える強さ。あのシャドウ・ザ・ヘッジホッグすらも超えて強くなっていく…そんな君に興味を持ってね…」


"君"という、強大な力に惹かれていくのだよ。
胸部にメフィレスの手がそっと触れる。ちょうど心臓の上に。また心臓を射られるのかと内心ヒヤリとしたが、ゾクリと寒気ではない何かも背筋に走った。
そうまるで奴の行動に期待してしまっているかのように。


「…でも偉大なカミサマから見れば俺なんてちっぽけな存在だぜ?」

「ふふふ…そうだね。僕から見れば君は一介のハリネズミ。僕は超次元生命体。でもねソニック、僕の心が言っているんだ…君の強さに対する畏れと、君が欲しいという欲望が。」


鼻と鼻が触れ合う距離のままメフィレスはソニックの胸に置いたままの手を持ち上げ、頬に添えた。


「いつか君を越えて僕が勝ったら、僕の手元に囲って僕に愛でられていれば良い、と思っているよ…。そのくらい君が好きさ。」


邪悪な化身とは思えない愛しみと、熱の籠った視線で見つめてくるメフィレス。ソニックは動揺した。


「え…?お前俺の事好きなの…?」

「君を手籠めにして犯したいと思っ「あーーー!!!!何でもない!!!」


俺、今メフィレスに告白されてるー!?
彼からの突然の告白に内心どころかめちゃくちゃ動揺していた。
メフィレスはシャドウに似せた姿をしているが世間一般から見れば端正な顔つきでイケメンの部類に値する。ソニックもだが。しかしイケメンから熱い視線を向けられて赤面しないソニックではなかった。まさか好敵手と見ていた彼から恋愛対象を向けられているとは思っても居なかったので完全に予想外である。


「え、あ…あっ…」


何だか奴を意識し始めたら俺の頬に添えられている奴の手にさえ恥ずかしさを覚えてきた…。頬の手、見つめられる、近距離に告白という4コンボにソニックのハートはフルボッコだ。
そんな、メフィレスが俺の事好きだったとか聞いてない。


「ふふふ…予想外だった?いままでそういう素振りを見せていたんだけどね…気付かなかったとは心外だな。ああ、そういえば世間はクリスマスというやつだったね…」


そう言ってからのメフィレスの行動は早かった。
メフィレスの顔が一瞬にして近くなったと思ったらソニックの頬にふにゅりと柔らかく、体温の無い冷たい何かが触れて、すぐに離れていった。

…へ?
一瞬何が起きたのか理解出来なかったが、離れたメフィレスがニタりと笑っているのを見て自分が何をされたのか遅れて理解した。


「な、なっ…!?」


カーッと顔が熱くなる。
頬にキスされた。その単語が頭の中をぐるぐる回り、ソニックの心をかき乱す。エミーにもあまりさせた事が無いのにメフィレスは易々と奪っていった。


「メリークリスマス。これは僕からのクリスマスプレゼント、ソレアナの神様からのキスだよ。ふふふ…ではまた。」

「…あっ!ちょっと待て!」


静止の声も届かず、メフィレスはどぷりと影に消え、影ごとその場から消えた。
行き止まりの路地裏に佇むのはソニックのみ。


「……何だよアイツ、俺の返事も聞かずに言うだけ言って帰って行きやがった……」


そう言いながらもソニックの心臓は高鳴っていた。




終わり。



***************
あとがき


イベ小説消化遅れてすみませんピュアっピュアなメフィソニをどうぞお召し上がりください。メフィソニの方が文はやや長めです。メフィレスは告白した後、見えない所で「勢いで告白してしまった…!」と羞恥で悶えていたら楽しいです。ところでメフィレスの心ってソラリスコアとイコールなんですかね分かりません。

大変遅くなりましたが2013年クリスマス小説でした。お粗末様!


鷹姫。
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