短編

□あんらく
1ページ/1ページ



*会話だけ






「安楽死って安く死ねるのかと思った」


「お前バカか?安く死ねたら楽だッつーの」


「楽だよね、それは。確かお金掛かるんだって。安くない。寧ろ高い」


「日本じゃ違法だろ」


「らしいね」


「条件六つに適してないと合法になんないンだッてな」


「六つ、かぁ」


「何、お前死にてェの?」


「うん。出来るなら低コストで」


「なら睡眠薬大量に飲めば楽だな」


「睡眠薬以外で」


「つうかお前はどうやッて死にてェの?」


「飛び込みかな」


「それ低コストな死に方じゃねェじゃん」


「マジ?」


「なら、溺死とか事故とか通り魔に殺される方が安い」


「痛いのはちょっと…」


「じゃ練炭で死ね」


「それはありきたりだから」


「なぁ、お前実際死にてェの?死にたくねェの?どっち?」


「死にたい」


「じゃあ死に方にこだわらなくていいだろ」


「そっか。…………あ」


「ん?」


「低コストで痛くない死に方思い付いた」


「ふーん。どんな?」


「餓死」


「それどれだけ時間掛かると思ってンの?」


「わかんない。でも、いい安楽死だと思う」


「どこで死ぬつもり?」


「西くんの家」


「ハァ?何で俺の家?」


「死ぬまでが見たいならちょうどいいかな、って」


「悪いけど俺の家で死体騒ぎは迷惑だからヤメロ」


「えー。…じゃあ、どっか廃屋で」


「それなら俺に迷惑掛かんねェな」


「時々遊びに来てね」


「ああ、時々な」


「腐りかけて待ってるね」


「それ死んでンじゃん」















安く逝けるなら
(見守ってくれ、なんて贅沢でしょうか)









[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ