和泉野小説
□2章
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コツコツと廊下を行く音。5人の男女がある場所に向かい歩いていく。
「私、会議室なんて初めてよ」
「それは僕もさ」
きれいなフランス語で話す2人は、他の3人を振り向きもせずにぐんぐん前を歩いていく。
「あー、わかったヨ。コイツらこーやって他人を無視して行動するから、問題視されたんだナ」
「知れたことです…」
黄色い鋭い目をした少年がくすくす笑いながら聞こえよがしに言い、金髪の控え目そうな少女が続けた。
「五(ウー)、フォール…言い過ぎはよくないですよ。それと、トロワとドゥーゼは少しペースを落としてください。会議室に着くまでに息切れしますよ」
人のよさそうな青年が静止したが、その言い方のもどこかとげがある。
「いい子ぶりっ子が調子に乗る、よくないネ。なんならここで上下関係を教えてやっても良いんだヨ?格落ちの山県太一元隊長?」
太一と呼ばれた青年は、一瞬嫌そうな顔をしたが、すぐに笑顔を作り直し、陳五(チェン・ウー)に向かい言った。
「上下?それはいいですね。猪突猛進の代名詞さんが、どちらが上でどちらが下かなんて、分かるのでしたら是非教えてください」
一同は歩みを止めない。
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