お題
□見込みないけどやっぱ好きで
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いつからだろう、倫太郎の目に私の全く知らない女の子が映っていたのは
「倫太郎どうかした?」
「…え?いや…何でもない」
いつものように笑顔を浮かべて返してくる
だけどその笑顔は、どこか悲しそうだった
放課後になると、倫太郎に「今日は部活ないから帰ろう」と言われた
倫太郎と私は幼馴染み
決して恋人ではない
私は倫太郎に片想いしてるけど、現に倫太郎には好きな人がいる
けど、その子には好きな人がいて―――
「美雨って好きな人いる?」
「…うん。けど、私の片想いかな」
「そっか。何でその人のこと好きなの?」
「んー…。頑張ってて、けどちょっと無理してて、でもそんな姿が好き」
お互い前を見据えたまま話していたが、急に倫太郎に頭を撫でられた
「美雨なら大丈夫」
「ありがとう。倫太郎はいないの?」
分かっていても、その場の雰囲気というかなんというか、聞いてしまった
実際は聞きたくない
聞かなくても分かってる
「俺…?俺も好きな人いるよ。けど、その人は恋人いるから」
そのまま悲しそうな顔で言い続けた
見込みないけどやっぱ好きで
(その顔を見て、私はやっぱり倫太郎の一番になれないと、改めて分かった)
2013.03.02