イナイレ

□メランコリック(吹緑)
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「緑川くーーんっ」
ぱたぱた、なんて効果音が似合いそうな軽い足取りで駆ける吹雪は、そのまま緑川へと飛びついた。
「吹雪!」
「えへへー。緑川くんが見えたから、走って来ちゃった」
そのままぐりぐりと嬉しそうに頭をこすりつける吹雪に、緑川はクスクス笑った。
「はぁー、緑川くんイイ匂いするねぇ」
「同じシャンプー使ってんのにか?」
「緑川くんの匂いだよー」
「なんだそれ」
そんな他愛のない話でも、吹雪はいつも幸せそうにころころと笑っていた。
「僕緑川くんの匂い好きだよ」
「あははっ、なんだよ急に」
「だって僕緑川くん大好きだもん」
そう言ってぎゅうっと緑川を抱きしめる吹雪。
そして、そのままゆっくりと唇を頬に落とそうと瞳をとじた。
しかし

「吹雪」

次に目を開けたとき、吹雪の唇には、やわらかな頬ではなくて、意外に大きな緑川の手があった。
「こういうのは、ノリでしちゃ駄目だ。ちゃんと、好きな子にとっときな。」
真面目な顔をしてそう言ってから、にかっと笑ったその顔が、愛しくて。
そして
ちょっぴり切なくて。
吹雪はまた、いつもみたいにころころ笑う。


「えへへ、ごめんね緑川くん」






メランコリック


(君こそ『好きな子に』なんて、軽く言うものじゃないよ?
毎日キスしたって、足りないくらいに大好きなんだから!)





「…?どうした風丸。そんなところにしゃがみこんで」
「あぁ円堂…すまないがしばらくそっとしておいてくれ」
(あぁ緑川…なんで気づかないんだよもおおおお……)




たまたま通りかかった風丸くんが、出るに出られず1人悶々としていたのは
2人には内緒。

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