イナイレ

□拝啓赤の王子様(基緑←吹)
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「ねぇ緑川くん、好きだよ」

いつもみたいに笑って吹雪は言った。
こんな状況じゃなかったら、綺麗で愛しい、いつもの吹雪の笑顔。
「ふ…ぶき?」
「ねぇ、緑川くん?」
「…っ!!」
ギリ、と強く捕まれた腕から骨の軋む音が聞こえる。
そして、同時に背に感じる壁の無機質な冷たさが、これが現実であることを嫌でも教えてくる。
「どうして君は、いつもそうなんだろう?」
いつもの声で、いつもの笑顔で、目の前にいる大好きなハズの彼が優しく微笑む。
しかし、いつもと変わらない無邪気な笑顔であることが、緑川にはひどく、恐ろしいものに思えた。
「だって、いつだって君は、基山くんのことしか見えてないんだよ?」
(そう。僕がどんなに君と時間を共有したって、君の視線の先にはいつだって彼がいる。)
ギリ、と一瞬顔をゆがませ、しかしすぐににこりと笑い、吹雪は緑川の耳元でとびきり甘い声で囁く。

「ねぇ緑川くん。お願い、好きって言って」

皮膚がざわっと粟立つくらいの、優しい響き。
どこまでも甘くて、そして果てしなく暗いその言葉の中に、緑川はたしかに吹雪を見つけた。

『お願い、かりそめの言葉でもいい。僕を必要として。』

痛くてたまらなくて、ずっと強張らせていた腕から力を抜く。
「吹雪」
ぴく、と小さく吹雪の細い肩が震える。
その小さな変化を、緑川は見逃さなかった。
「ねぇ吹雪、聞いて?俺さ、お前のこと大好きだよ。」
でもさ、と続ける。
それがきっと、自分にできる吹雪への精一杯だと信じて。
緑川にとって吹雪が、大切なヒトだから。
「この好きは、吹雪の望む好きじゃない。その好きだけは、絶対に吹雪には言っちゃいけないんだ。」
そう、だってこの好きはいつだって

「これは、ヒロトだけのものだから。」

いつの間にか自由になった腕を、優しく吹雪の体へまわす。
ごめんね、ごめんねと何度も何度も呟いてしずかに涙を流す吹雪を、緑川はずっと抱きしめていた。






拝啓赤の王子様
(ねぇ知ってる?君がどんなに愛されてるか)





END

なんか、ごめんなさい
想いの限りをぶつけたらこんなことになってしまった

誰か文才くれ!←

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