CP小説
□虚偽
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※世宇子戦後の病室設定※
週一回、30分程度の怪我の診察を終え自分の病室に戻る。
病室に入ると佐久間が虚ろな顔をして窓の外をみていた。
「佐久間?どうしたんだ?」
「源田…、さっき鬼道が来たんだ…」
「鬼道が?…俺も会いたかったな…」
鬼道、その言葉にぴくりと反応する。
佐久間は鬼道に想いを抱いている。
そして、俺にとっての…ライバルだ。
「………」
「佐久間…?…泣いて…いるのか…?」
どうしたんだと近寄れば佐久間がぎゅうと抱きしめてきた。佐久間の匂いが広がる。
「俺、辛くて…っ!どうしたらいいのか分からないんだ…っ」
「佐久間、何か…あったのか?」
「鬼道に、好きだ、って…言った…そしたら、」
鬼道は、俺も好きだ、仲間としてな、って。
「辛いんだよ…源田、もう嫌なんだ…っ!どうやったってあの人への想いは伝わらない、伝えたくても伝わらないんだよ…!」
「佐久間…、」
「鬼道はさ…雷門に転校しちゃうんだって、俺達から離れて雷門でサッカーをするって、」
「源田…源田、俺のことどうにかしてくれよ…、もうこんな気持ちは…ごめんだ…っ」
佐久間は縋り付くように泣きじゃくり俺はその佐久間を優しく抱きしめる、
「佐久間…俺は佐久間の傍にずっといる。例え俺が佐久間の想い人でなくとも、佐久間を泣かせたりはしない」
「げん、だ…?」
嗚呼、俺はきっと心のどこかでこうなることを望んでいたのかもしれない。なんて最低なんだろう
「俺は佐久間に辛い思いも寂しい思いもさせない、佐久間の望むようにする、」
「源田…やっぱり優しいな…、最初から源田を好きになってればよかった…なんて、」
佐久間はそう言って苦笑する。
俺は優しくなんてないし、いい人でもないんだけどな。
「佐久間、好きだ」
虚偽
(偽りと真実の言葉、)
(その償いにと約束の口づけを)
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否、真実が佐久間side.verです…!