FF7

□ありし日の彼らの日常とか
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英雄と呼ばれる男の朝は、早い。

「……なんだ、朝から人の顔をじろじろと」

書類から顔もあげず、セフィロスは昇進したての部下に言った。

「おっと、すんませんね。うちの可愛いチョコボが眠たそうに訓練してたから、さぞ昨夜は遅かったんだろうなぁと…うぉっ」

そう軽口を叩くザックスの鼻先ギリギリに愛刀・正宗を突きつけながら、キロりと睨む。

「いつお前の家のものになった。あれはうちのだ」

言葉尻をいちいち捉えて訂正されるのにも馴れてきたこの頃だが、正宗の冷気にはいつまで経っても慣れる気がしない。
煌めく正宗に再びすんません、と冷や汗を垂らしながら謝ると、ようやくそれが顔から遠ざかる。

まがりなりにもソルジャー1stであるザックスが身構える隙すら与えないセフィロスの素早さに、そっと溜め息をこぼす。

戦争が終わり、ソルジャーの仕事がモンスター退治に重きをおかれ始めている昨今では、英雄様は力をもて余しているのだろう。
辺境の地の小競り合いやら希少マテリアの調査団なんかでは、彼の能力を満足させる機会に中々巡り会わない。
この正宗一降りで小隊を壊滅させてしまうのだから。

そんな戦一辺倒だった英雄様が、可愛いチョコボ頭の少年に心を奪われたのは随分前の事だ。
あの手この手でチョコボ、もといクラウドの前に現れては色気を垂れ流して口説いていくという努力の甲斐あって、最近ようやく想いを遂げたらしい。
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