短編2
□純愛ってなんだっけ。
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「お前に貞操観念とかないわけ?」
「は?貞操?ドコの中世よ」
「今の世の中でも現役の考え方だっつの。誰彼構わず身体許すなって言ってんのよ、おれは」
「人を淫売みたいに言わないでくれる?相手くらい選んでるよ。全員本気だし」
「ああ゛?んなもんなお悪いわ」
「なんで?いいじゃん。仮に相手がソレ目的だったとしても、この身体ひとつでその時だけは僕だけを見てくれるんだから、幸せでしょ?」
「虚しくないわけ?」
「ひとりに絞って、本当に愛されてるのか不安な時間を過ごすよりずっとマシだね。少なくとも、求められてるなってすぐわかるもん。僕がそんな風に欲望にまみれた顔をさせてるんだって考えただけでゾクゾクする」
「欲情するだけが愛じゃねーだろうがよ」
「説得力ないよ。会ったら速攻ヤる癖に」
「お前が他の男とヤってる間、こっちは我慢してんだから当たり前だろ。久しぶりに好きな奴に会ったら欲情ぐらいするだろうが。っ、クソ、キスマークなんかつけられやがって」
「我慢もなにもそっちの勝手だろ。僕には関係ないね。そんなに気になるなら上からキスマークつけ直せば?間接キスになるけど」
「気色悪い事言うなよ。あーもう、ムカつく……何嬉しそうな顔してんだよ」
「愛されてるな〜って思って。独占欲、嫌いじゃないよ。束縛はウザいけど」
「あーそうかよ!!ったく、次はいつ会えんの」
「僕が会いたくなったらね」
「俺が会いたいときはどうすんだよ」
「僕の事だけ考えてればいいんじゃない?」
「んなもんいつもだっつの」
「アハ、よく言われる〜」
「〜〜っ!お前はっ、本当に!……クソ、報われねぇな!」
「そんなことないよ、言ったでしょ。全員本気なの。愛してるよ」
「……はぁ。不覚にも、満足しちまった……」
「ねぇねぇ僕には〜?」
「はいはい、愛してるよ、死ぬほどな」
おしまい