短編
□Time U
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巧は今、すこぶる機嫌が悪かった。
それというのも、実は今友紀が修学旅行中で。
もちろん、一学年下の巧はついていけるはずもなく。
「…イライラする…」
苛立ちを臆面もなく醸し出しながら帰りを待っていた。
メールや電話のやりとりはしているものの、やはり傍にいないと落ち着かない。
というか。
「誰かに襲われてたりとかしませんよね…」
あんなに綺麗で、しかも(巧と付き合ってから)めっきり色っぽくなったと評判の友紀の事だ。
不貞な輩がいてもおかしくない。
いや、むしろいない方がおかしい。
「…襲った奴…殺す…」
先輩だろうが何だろうが関係ない。
巧は想像の中の不貞な輩に確かな殺意を覚えた。
そんな日々が3日間程続き、殺意に晒され続けたクラスメイト達が目に涙を浮かべ始めた頃。
やっと修学旅行生が帰ってきた。
楽しかった思い出とわずかな疲労感を抱えバスから降りた彼等を待っていたのは。
(ひぃ…っ!?)
明らかに殺気を纏った巧の姿。
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