短編
□可愛い君と。
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「ん〜っ」
朝目が覚めて、背を伸ばして。
「ふあぁ」
酸素を取り込む為にあくびをして。
「おはよ、蓮(れん)」
まだ隣で寝ている君に朝一番の挨拶をする。
「んぅ〜…」
無意識にだろうが、まだ眠いといった風に君は僕に擦り寄ってくる。
幸せそうに僕の腕を抱きしめていると思うのは、僕の自惚れだろうか。
「蓮、朝だよ」
君をいつまでも見ていたい気持ちをぐっと抑えて声をかける。
「ぅ…?ん……」
そっと揺すってあげると、君はやっと起きるそぶりを見せた。
眠い目を擦ってから少しだけぼんやりする。
「おはよう蓮。目は覚めた?」
いつ見てもかわいらしい姿に微笑みながら、いつもの言葉をかける。
「……ぁ、おはようございます」
僕の顔を認識した瞬間、蓮は花のように顔を綻ばせた。
あぁ、本当になんて可愛いんだろう。
毎朝この笑顔が見られる僕は、きっと世界で一番幸せに違いない。
誰よりも先に君を見られる幸せ。
誰よりも先に君の視界に入れる幸せ。
今日という日が薔薇色に染まる瞬間だ。
僕の幸せな一日は、こうして始まる。
Fin...