短編

□悪魔の愛し方
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「シャル、会いたかったぞ」

天蓋(てんがい)から垂れる布を慌ただしく払いのけ、シルクに包まれて横になっていた俺をきつく抱きしめてくれる。
とろけそうな表情でキスの雨を降らせる彼は、この世界へ俺を連れ去ってきた張本人だ。

この世界というのは、俺のような人間の住む世界とは異質の世界であり、ここに生きるモノ達も姿形は人間に似ていれど、その本質はヒトとは全く別の生物。
人間(ヒト)の魂を喰らい、その負の感情を糧とする、悪魔と呼ばれる人知を超えたモノたちだ。

彼…トロイメライ(俺はロイと呼んでいる)は、そんな悪魔達の中でも上位の存在だ。
何よりも彼の容姿がそれを物語っている。

残虐、そして冷酷であればあるほどヒトの魂を喰らっており、悪魔はその容姿が魅惑的になっていく。
目を見張る程美しいこの悪魔に弱点があるとすれば、それは……。

「なぁロイ、そろそろ外に出してくれないか?」

今日は機嫌が良さそうだから、もしかしたらと思い、切り出してみたのだが。

「…ならん」

急に冷めた表情で吐き捨てられた。

「欲を満たしたければ言うがいい。お前の欲するものは何でも手に入れよう。しかし外に出ることだけは許さぬ」

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