『空っぽの心情』

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…ホーリーロード、初戦の天河原対雷門の試合は、雷門の勝利で終わった。

一般的に見れば『激しい戦いだった』と思うだろうが、それでは終わらない。

初戦敗退とフィフスセクターから指示を出されていた雷門。

栄都学園との練習試合でならまだしも、今度ばかりはそうはいかない。

雷門はチーム内で真っ二つにわかれてしまった。

あくまでも指示に従おうとするメンバー。

はたまた指示には従わず、自分たちのサッカーを貫き通そうという、反乱のメンバー。

…馬鹿な奴らだ、大人しく指示に従えばいいものを…。

剣城は顔をしかめ、1人、目的地へと歩みを進める。

円堂も円堂で、理事長や校長に何を言われようと『監督としての義務を果たしたまでだ』と一点張り。

理事長室から出てきて嫌みを言ってやれば『練習にこい』とか言いやがる。

どいつもこいつも、馬鹿ばかりだ。

…空。

ふと、何故かあの無表情な少女のことを考え、剣城はため息をつく。

右腕に巻かれている包帯をジッと見つめた。

天河原戦の数日前、自分のケータイにかかってきた電話。

その直後、路地で木材が倒れてきた。

反応が遅れていれば、これくらいでは済まなかっただろう。

『空に関わるな』そう言った相手の意図はわからないが、電話直後に起きた出来事は偶然には思えない。

『お前など何時でも潰せる』そう脅されているように剣城は感じている。

天河原との試合、雨宮は目立った行動はしなかった。

シュートも打たず、ただ周りをアシストするだけ。

神童の化身が覚醒し、三国が反乱側についた。

変わったことと言えばそれくらい。

前半戦終了後の休憩時間に、剣城の言葉に少しは反応するかと思えば、自分は関係ないとでも言いたげに水分補給をしていた。

けして、剣城と目を合わせようとしない。

それが剣城にとっては、少し寂しくもある。

そう言えば、最近まともに雨宮と話をしてないし、会ってもいない。

朝、迎えに行っても既に家を出た後。

最近の練習には来ていない。

そんなすれ違いが何度も続いていた。

かと言う剣城も放課後の練習は見ていない。

理由はある。

いつの間にか目的地にたどり着き、剣城は顔を上げた。

…病院。

剣城は毎日、この病院の315号室を訪れている。




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