□俺の、初恋なんです。
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虎ノ屋




虎丸母
「あら、いらっしゃい」

琴音
「おばさん!お邪魔してます」

虎丸
「もう母さん!向こう行っててよ!!」

虎丸母
「うふふ。ごゆっくり」


虎丸くんの部屋に、彼のお母さんが来た
それが恥ずかしいのか、すぐに追い出してしまったけど…


琴音
「ちょっと、おばさん追い出しちゃダメでしょ」

虎丸
「いいんですよ、別に…」

琴音
「マザコンのくせに(笑)」

虎丸
「誰がマザコンだ!」


おばさんのことが大好きなことは、認めたくないらしい(笑)
まぁ、普通か


虎丸
「なにか飲みますか?」

琴音
「飲む〜、てか虎丸くん」

虎丸
「はい?」

琴音
「敬語禁止」

虎丸
「あっ…」


【二人の時は、敬語禁止】
これがあたし達のルールになっている
虎丸くんはいつからか、敬語で話しかけてくるようになった
年が二つ、離れているだけなのに…
あたしはそれが無性に寂しく感じた


虎丸
「なに飲み…む?」


敬語で話しそうになって、必死で堪えている
それが可愛く見えるのは、あたしがサドだからかな?笑


琴音
「オレンジジュース」

虎丸
「わかった!」


バッ、と部屋を出ていったと思ったら、直ぐに戻ってきた
なにか言い忘れた?
と思ったんだけど…
手にはちゃんと二人分のジュースとお菓子があった


琴音
「速いね」

虎丸
「出前で鍛えてるからね」


得意そうに答える虎丸くん


琴音
「さすが♪」

虎丸
「撫でないでよ…//」

琴音
「嬉しいくせに(笑)」

虎丸
「ばか//」


もーっ、可愛いんだから★


虎丸
「そーゆーこと、言わないでよ…」

琴音
「へ?」

虎丸
「可愛いとか…」

琴音
「あれ?声に出てた?」

虎丸
「はっきりとね!」


あぁ…虎丸くん怒っちゃったかな?
プイッ、とそっぽ向かれちゃった


琴音
「ごめんね?」

虎丸
「いいよ、許してあげる」


くるっ、と振り返り笑顔を見せてくれた
良かった


琴音
「どう?最近、サッカー楽しい?」

虎丸
「うん♪」

琴音
「なら良かった」


自分の実力のせいで苦しんでいた虎丸くん
イナズマジャパンのメンバーと一緒にサッカー出来たことで、彼は覚醒した
実力を出し惜しむことは、もうしないはずだ


虎丸
「琴音ちゃんは?学校楽しい?」

琴音
「うん!でもなぁ…」

虎丸
「どうしたの?」

琴音
「彼氏、とか…欲しいんだよねぇ…」

虎丸
「!!!!」


そう、彼氏が欲しい
友達に出来た子がいて、凄く幸せそうだから
でもね、誰でもいいって訳じゃない
虎丸くんみたいな、明るくて可愛い子がいいなぁ


虎丸
「どんな人がいいの…?」

琴音
「うーん…虎丸くんみたいな子、かなぁ」

虎丸
「えっ…!!//」


あれれ?
頬っぺたが赤くなってるぞ?
変なこと、言っちゃった?


琴音
「でも、格好いい人も好き。例えば…豪炎寺くんとか」

虎丸
「えっ…」


あたしは雷門じゃないから、一応【くん】呼びで
てことはどーでもよくて…
虎丸くん、さっきの『えっ…!!//』と違う『えっ…』だったけど…
また変なこと、言っちゃった!?


虎丸
「……小学生は」

琴音
「えっ?」

虎丸
「小学生は…琴音ちゃんの彼氏にはなれないの…?」


小学生はあたしの彼氏に、なれるかなれないか
そんなの


琴音
「なれるに決まってんじゃん」

虎丸
「本当!?」

琴音
「当たり前でしょ。お互いが好きならオッケイなの」


よく、年下は嫌だだの、年上が良いだの…
みんな言ってるけど、あたしはそうは思わない
【愛さえあれば、いいじゃないか】があたしの恋愛観だから
まっ、恋したことなんて、一回しかないけどね(笑)


虎丸
「そっかぁ………」


なにかを考え始めた虎丸くん
自分の世界に入ったら、しばらくは戻ってこない
暇だなぁ、と思いつつ彼が持ってきたお菓子をモグモグ、ジュースをゴクゴク
小学生男子のくせに、気が利くな…
こうゆうところを、好きになったんだよ?あたし。
我が儘なくせに、変なところに気が利いて優しくて…
あたしはそんなところに、恋をした
失恋に終わりましたが…
彼が小学四年生のとき、つまりあたしが小学六年生のとき
虎丸くんを好きで好きでたまらなかったとき、彼にあたし以外の女友達が出来た
毎日一緒に遊んでたのに、その子と友達になってからは遊んでくれなくなった
そのときに
(あぁあたしは…虎丸くんにとって、ただの幼なじみだったのか…)
って思い知らされて…
今度は自分から距離をとったんだよなぁ


虎丸
「琴音ちゃん…琴音ちゃん?」

琴音
「えっ、あっ、ごめん。なぁに?」


まずいまずい…
昔のことで頭いっぱいになってた


虎丸
「俺ね」

琴音
「うん……!!」


か、顔!
顔が近いよ、虎丸くん!!


虎丸
「……………」

琴音
「どうしたの…?」


あたしの顔を見たまま、微動だにしない
顔になにか付いてる?


琴音
「あの…」


――ちゅっ


へっ?
な、なに…


虎丸
「俺さ、琴音ちゃんのこと、ずっと好きだった」


優しく抱きしめられる
さっきのは…キスか///


虎丸
「でもね、二つも年違うし、琴音ちゃんが中学上がったら一緒にいられなくなる。そう思ったら悲しくなっちゃって…」

琴音
「それで六年生のとき、他の子と一緒にいたの?」

虎丸
「………うん、ごめん」


ごめん、かぁ…


虎丸
「ねぇ、琴音ちゃ…痛っ!!」


虎丸くんが痛いと言ったのは、あたしがデコピンしたから
そしてそのデコピンをした部分に、キスをする


琴音
「こっちこそごめんなさい。あたし、虎丸くんに嫌われちゃったのかと思ってた」

虎丸
「そんなこと!」

琴音
「ないよね?今やっとわかった。…あのね、虎丸くん」


虎丸くんの喉がゴクッと鳴った
緊張してるのかな(笑)


琴音
「あたしも虎丸くんが好きだったよ。だった、じゃないか…今でも好き。もちろん、幼馴染みとか友達じゃなくて」


口をポカンと開けている
虎丸くんが思っていたのと、違ったかな?


虎丸
「……………」

琴音
「と、虎丸くーん?」


えっ…返事してくんないよぉ…


琴音
「とr」

虎丸
「良かった!じゃあ俺、琴音ちゃんに嫌われてないんだね?」


抱きしめる力が強くなる


琴音
「うん…」

虎丸
「俺、好きなままでいて、いいんだよね?」

琴音
「うん」

虎丸
「ずっと好きなままでいていい?」

琴音
「うん!」

虎丸
「俺と、付き合ってくれる?」

琴音
「うん♪」

虎丸
「さっきから、『うん』ばっかじゃないか」


だってさ、虎丸くん


琴音
「『うん』以外に言える言葉が、一つしかなかったんだもん。でもそれは、顔を見て言いたいの」


虎丸くんから少し離れる
と言ってもさっきと同じ、ちょっと近づけはキス出来るくらいだけど


琴音
「好きって言ってくれてありがとう。付き合って、て言ってくれてありがとう。こんなあたしだけど、よろしくお願いします」

虎丸
「…うんっ!!」

琴音
「ね、『うん』しか言えないでしょ?」

虎丸
「うん♪」

琴音
「(笑)」

もう一度キスをして、その日は家に帰った
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