□第三話:幸せになれる夢。
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ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ


『あーもう、うるさい!』


乱暴に目覚まし時計を止める。
目覚まし時計の分際で私を起こすとは…頭が高い!
つか暑いんだよ…って、ああっ!
忘れてたよ昨日の夜…!
もしも、もしもよ私。
もしも昨日の事が本当で携帯に南沢さんがいたら…。
た、確かめてみよう。


“…何?”

『……』

“あっ、おい閉め”


あーやばい、どうしよう…。
あの夢は夢じゃなかった。
いや確かに私の夢は二次元に行くことか声優になることだが…!
それゆえに見た夢だったのか?
夢と現実が混ざってる?
まだ夢なのか……!?
そーだそーだ、絶対そうだ。
なら楽しんでやろうじゃないの!


『好きです愛してます押し倒してもいいですか』

“は?”


まあ驚くのも無理はない。
今まで南沢さんの言っていたことを無視し続けていた私がいきなりの告白(いや、脅迫か?)。
でも夢だとわかったのだ。
遠慮しないで南沢さん本人におもいっきり気持ちを伝えてやる!


『だから好きなんです!南沢さんのことを!アニメで退部しちゃったとき、まじで泣きました!もう逢えないのかと思うとまた涙が…でもまた逢えて嬉しいんです!』

“あ、あり”

『どうして南沢さんは私のケータイに?しかも待受画面なんですか?ああ、頭のとこに時計が被っちゃってるじゃないですか!』

“は…あの”

『これとった方が絶対いいですよね!せっかくの綺麗なお顔立ちが台無しです!ちょっと失礼して』

“ああ!とりあえず落ち着いてくれ!こっちだって話をしたい!”

『はえ?…あ、すみません!私…興奮しちゃって…』


ああもう恥ずかしい!
大好きな南沢さんの前だからって焦りすぎよ私!
ちゃんと南沢さんの話も聞かなきゃ。


“落ち着いたか?”

『はい。…本当にすみませんでした』

“まあいい…。まず名前は?”

『私ですか?絵理です』

“ふーん、絵理…いい名前だな”

『へっ…あ、ありがとうございます…』


な、なに…?
南沢さんが私の名前を誉めてくれた…しかも笑顔で…!
また倒れそう……!


“俺が聞きたかったのはそれだけ。これからこのケータイに住むから…よろしく”

『はい!よろしくお願いしまって、え!?このケータイに住む!?なんでですか?』

“あー…気まぐれ?”

『き、気まぐれ…』


ま、まあ夢だし。
理由なんてなんでもいいか!
南沢さんが私のケータイにいるだけでヒャホーっなんだから。


“で、絵理…だっけ?なんか聞きたいことあるか?”

『へ?』

“俺に質問、あるか?”

『あ、ないであります!』

“そうか”


南沢さんが私と会話をしている。
しかも会話が成り立っているんだ。
一方的な愛を叫ぶだけじゃなくて、本人にちゃんと伝えられている。
まあさっきはスルーされたけど…。
諦めずに何度もtry try try!


「絵理〜!いい加減起きなさーい!遅刻するわよー!」

『もう起きてるー!…えっと南沢さん、私学校行くんですけど、南沢さんはどうしますか?』

“……俺も行くかな、ガッコウ”

『え!?』

“つかガッコウにケータイ持ってくだろ?”

『それもそうですね!じゃあ一緒に行きましょう!』


ああ、夢の南沢さんとの登校。
夢にまで見たことが現実に…、ってこれも夢だったっけ。
あら残念…。


「絵理!早くしなさい!」

『わかってるよ!』

“…(汗)”
 

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