文章

□飴
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sideK
最近、学校でとても酸っぱい飴が流行っているらしく、現在滝ちゃん達が挑戦しているところだった。
「〜〜〜っ、すっぱぁあああっ」
「っ、駄目だ、凄い涎出てくるっ」

…どうやらダメだったらしく、机に額を付けて悶えている滝ちゃんと三木を横目に僕とタカ丸さんは外を眺めていた。
体育なのか走っている生徒がちらほら見える中、一際目立つ先輩に僕は目を瞬かせた。
「立花先輩」
走るのだろうかほかの生徒と並んでいて僕は窓を開けて身を乗り出すほどに食い入ってそれを眺めた。

ーパーン…
スタートの合図と同時に走り出した先輩の走り方はとても軽やかで完璧な走り方で、釘付けにならない訳がなかった。

ーーー…
見事一位になった先輩に心の中で歓喜しながら教室のほうに視線を戻すと、タカ丸さんがニコニコと笑みながら僕を見ていて、滝ちゃん達も僕を見ていた。
「喜八郎君は、本当に仙蔵君の事が大好きなんだね〜」
「はい、大好きですよ」
そう、僕は敬愛の意味でも信頼の意味でもなく、恋愛対象としてあの人、立花仙蔵先輩が大好きだった。(気づくのには相当時間がかかった。)
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