文章
□記憶
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「はぁ…寒いときに甘酒を飲むと、温まるな。なぁ?喜八郎」
「はい、温まりますね…仙蔵先輩」
春先に入るがまだまだ肌寒い季節、立花仙蔵と綾部喜八郎の二人は委員会の仕事も終わり…休憩にと二人で温まりながらゆっくり甘酒を味わっていた。
「そういえば…喜八郎?この位の季節だったな、私達が始めて出逢ったのは。」
ふと仙蔵が顔を上げ、喜八郎の方を見ると喜八郎も一旦首を傾げるが思い出したのかコクリと頷いてみせ
「はい、あの時は本当に良い思い出です」
ーーー……
side喜八郎
まだ僕が一年生で、学園に入学した頃まだ肌寒い時期だった。
「(寒い…)」
校庭で僕は一人蛸壺を掘っていた手を止めて、灰色の空を眺めてそんなことを考えながら見つめていた。
「お前が穴掘り小僧か?」
眺め続けていてふと声を掛けられ、僕は声のした方に視線を向けるとそこには三年生の制服をして僕を見下ろす生徒が立っていた。
「…何かご用ですか?」