文章

□飴
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教室を出るときに拝借した飴玉をポケットに入れて僕は階段を上りながらふとさっきの事を思い返してみた。
(滝ちゃん達、凄い顔してたなー…後で謝ろう)
先程の事を考えて、気がつくと目的の場所の屋上に辿り着いていたので目の前の扉を開けるとこの季節の肌寒い風が僕の頬を撫でた。気がつくと先客が居たのか、向こうが此方に気がついてひらりと手を振っていた。
「やぁ、綾部。」
「…こんにちは、鉢屋先輩」
後ろ手で戸を閉めると、ニヤニヤと笑みを浮かべながら僕を見る鉢屋三郎先輩にムッとしながら近寄り、柵に凭れて相手の方を向いたら、まだ笑っていた。
「…何ですか?」
「いや?先程まで立花仙蔵先輩が走っていたな。で、其れを見ていたろう?此処からよーく、見えたよ」
…どうやら鉢屋先輩は先程の事を見ていた…らしい。(よく見えたな…)
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