■小説3

□恋人の起源 -狂科学者Kの飽く無き探求-
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題:「恋人の起源-狂科学者Kの飽く無き探求-」
  [其の弐]
−−−−−−−−−−−
「服を脱げば良いのかネ?」

研究室の隣に位置する手術室へと移動した、マユリと浦原。部屋の中には、当然誰も居なかった。室内灯の明かりを極小にしてから、入室して早々に、マユリは浦原へ問うたのだった。

「いえ。その儘で構いません。そちらへ座ってください」

言われる儘にマユリが手術台へと腰掛けると、暗がりの中から、向かい合った浦原が接近して来た。

「涅サン…」

延ばされた手で顎を掴まれ、軽く上を向かされて、浦原の顔がマユリの顔へと近づいてくる。屈んだ姿勢の浦原と顔が重なり、唇と唇が触れそうになって、その"意図"に漸く気付く。マユリは慌てて両手を突っ張り、浦原を跳ね付けた。

「ま、待ち給え!!これは……要らなくないかネ?」

「必要っスよ。ご存じでしょう?性交前にする接吻は、生物学上、人が健康に進化する過程において重要な行為だと判明してます。病気や感染症にならぬよう、最初に唾液を交換し、互いの免疫力を高めておく。それに舌を口腔内に挿入するディープキスは、性交と同じ。快感も気分も、昂揚させるでしょ?アナタの求める"真の快感""究極の快楽"の為には、十分に意味を成す行為っスよ」

有無を言わさぬ正論であった。これにはマユリも、何も言えなくなってしまう。
それに初な少女の様に、接吻一つで動揺するなど、この男には見せられぬ。プライドが有った。

「わ、分かった…ヨ」

立ち上がろうと浮かせた腰を手術台へと再び下ろし、俯いて浦原を待つ。もう一度近付いて来たその顔に、マユリはもう逃げなかった。

「う…ん、ッ…」

唇に唇が合わさって、存外に優しく吸い上げられる。と、柔らかなその感覚に、マユリは驚く。男同士で接吻などと考えたことすら無かったが、唇の感触は心地良かった。何よりこれが"あの"浦原の口唇だと思うと、妙な気持ちになる。長年憎々しいと悪意を抱き続けて来た男と、自分は今、口づけているのだ。

そうして。探るように浦原の舌先が、マユリの口腔内へと分け入って来た時も、マユリはこれ迄に無く強い衝撃を受けたのだった。

「ん、…ンク、ッ…あ…っ」

唇は唾液に塗れヒヤリと冷たかったが、入って来た浦原の舌先は、それとは全く違っていた。熱を持って粘っこい、淫靡な舌端であった。
浦原はマユリの口腔内を掻き回し、上顎の敏感な場所をいやらしく舐め上げ、逃げる舌先を執拗に搦め捕った。何度も交差させた先端を乱暴にきつく吸われると、身体の奥から砂糖菓子の様な甘ったるい感覚が湧いて来て、マユリを困惑させたのだった。

と、同時に中心に血が滾って来る。自分の心臓の音が、とてつも無く速く、大きくなっていくのが分かるのだ。

−これは…やばい、ネ…−

浦原の言うように、深い接吻は交わりと等しかった。長い舌で狭い口内を否応なくまさぐられると、正に犯されているといった感に陥るのだ。
マユリは、己の体の変化が信じられなかった。そして、焦りを感じた。男との接吻で、こんなに簡単に反応してしまうなど、知られたくなかったのだ。故に、マユリは熱く火照る身を必死に収め、正気を保つようにした。

けれど、それは徒労となった。口吻を終えた浦原が、マユリの首筋へと舌先を這わせ始めたのだ。透けるように白い、血管の浮いたマユリの首筋を、舌の先を使って舐め辿り、時には音を発てて啄んだ。そうして浦原の唇が通った後には、紅い鬱血の痕が印された。浦原のぬるく荒い吐息が柔肌に掛かり、鎖骨を噛まれ、マユリは堪らず声を上げた。

「ん、…っあ…」

「はぁ…涅サン。どうっスか?気持ち、い…?」

「ば、馬鹿かネ。まだだ…」

随分な痩せ我慢だが、気付かれただろうか?許可したとはいえ、さも当然のようにマユリの体を弄び始めた浦原。これも必要かとこの男に問えば、また一笑されるであろう。
そんなマユリの逡巡などは関係無く、浦原は首筋への愛撫を続けた。形良い唇で羽毛のように優しく触れたかと思うと、次の瞬間には痛い程にきつく吸われた。その強弱に、甘やかな快感は幾度も生まれ、高まっていくのだった。

「あ、ッ…」

マユリはいつの間にか押し倒されて、浦原がその上に乗っていた。死覇装の前は開けらせられ、肋骨の浮き出た薄い胸があらわになっている。その両端に位置する胸の突起を、いきなり指で同時に摘まれ、くにゅくにゅと丁寧に捏られた。硬い爪先で挟まれて、きゅうっと擦られると、粒から沸き上がる電流の如き甘美な刺激が、マユリの全身を駆け廻る。

「あ、アッ…っふう…」

息が荒くなり、無意識の内に淫声が漏れる。散々弄くられた後、口に含まれ、まるで飴玉をしゃぶる様に、胸の尖りをねぶられた。
ちゅぱちゅぱと淫靡な水音が発ち、マユリは悶えて身を攀る。浦原の髪を掴んで引き剥がそうとしたが、執拗に吸い付いていて、退かすのは困難だった。

何故であろう。此の時マユリには、浦原が夢中になっているように見えたのだ。それでは只の交わりであり、この行為には意味を成さぬ。これは実験なのだ。自らの身体を用いた、"究極の快楽"を得る為の人体実験。

けれど、今しがたの浦原の口述から、これが不可欠であるのなら自分は受け入れるしか無いと思う。言ってもこの男とは押し問答にすら成らず、やり込められてしまうだろう。この男−浦原喜助のあざとさを、マユリは既に知っていたのだ。長年、毛嫌いしていたのもその為である。
だが、そうした結論に達し、マユリは己を納得させて、この男に完全に身を委ねることにしたのだった。

やがて浦原はマユリの身体から降り、一瞬にしてマユリの死覇装の袴を引き剥いだ。下衣を手早く取り去られ、マユリの半身は生まれた儘の状態となった。それでも、上衣が腰の下辺りの位置に残されていることと、部屋の暗さで誤魔化され、肝心な部分は明確には見えぬ。浦原はそんなマユリの両足を拡げて膝を立たせ、何処から持ち出して来たのか、医療用ペンライトを持ち、点灯させた。その股間に顔を埋め、マユリの秘めた内なる場所を、ライトを当てて熱心に覗き込み始めたのだ。

それはまるで、所謂『お医者さんごっこ』の様だった。何かのプレイの如く、浦原はひたすら真剣に、ソコを重点的にじっくりと観察した。
その余りの恥辱さ故に、マユリの全身の血は熱く滾って、沸騰したのだった。

「やっ……んなこと…やめ、給えヨッ…」

「大丈夫。ボクに全て任せてください。悪いようにはしませんから。ああッ、此処ッ…蜜壷から蜜がもうこんなに…!?」

「ン、うッ…あ……」

マユリの下腹の一物は、明らかに既に屹立していた。これ迄何とか隠して来たが、こうも露骨に視姦されると、もはや誤魔化しようが無い。先っぽからとろとろと透明な蜜液を垂らし、硬くなっているマユリの牡茎を見付けた浦原。嬉しげな声を上げ、さっそく掌で握り込んで来た。

「こちらも、ボクの予想通り。凄く綺麗で、とても可愛い…」

「んん、ッ…」

かたや、奥で息づくマユリの蕾は、浦原の言う通り可憐であった。
その入り口を指先にてヒタリと触れられ、親指と人差し指の二本で、ググッと押して拡長させられる。そのせいで浦原は両手が塞がり持てない為に、ペンライトを口で挟んで、蕾のナカを凝視している。と、中の直腸内壁は、想像を超える綺麗な明るいピンク色だった。やがて医療用潤滑剤のチューブを手にした浦原は、容器の先をマユリの後腔へと差し込むと、ギュッと摘んで中身を大量に注入した。残りはマユリの茎と蕾の周辺、そして袴をずらし取り出した自身の牡茎に、しっかりと塗りたくる。浦原のモノは弓なりに反り、驚く程大きく、硬く怒張していた。

マユリがそれを知ったのは、浦原に後ろを散々弄くられ尽くした後であった。たっぷりと湿潤して濡れた蕾に、浦原は指を根元まで突き入れ、ぐるぐると掻き回した。中で二本の指を別々に蠢かせ、徐々に内壁を拡張させていく。更にもう一方の掌で屹立を扱かれるといった悪戯をされ、ソコは直ぐに暈を増し、達してしまいそうになる。

そもそも後ろの穴に、異物を入れたことなど無く、実に奇妙な感覚であった。ヌルヌルと絖った後腔に、無遠慮に出入りを繰り返して来る、浦原の骨ばった長い指。そのしつこさに後腔は敏感になり、自身の下腹ではヒクッヒクッと尿道口すら痙攣し、次の快感を物欲しげに待っているようにすら感じるのだ。
後に浦原が指を引き抜き、マユリの蕾に硬直化した牡茎をググッと押し当てた時も、入り口は淫らに収縮し、容易く先端を飲み込んでしまいそうだった。

「では、力を抜いててください。入れますから」

「ちょっ、ちょっと待、ッ…あ、クッ…」

マユリが未だ覚悟する前に、ソレはズブリと押し入って来た。否、そんな生易しいものでは無い。突き立てられたのだ。熱く野太い逞しき浦原の牡茎は、無理矢理その根元まで、一気にマユリの中心を深々と刺し貫いたのだった。
−−−−−−−−−−−
[其の参へ続く]
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