09/10の日記

14:45
★鰤感想(第686話(最終回))
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「コラァ‼そこで何してんねん、クソガキイ‼どっから入ってきよってん…⁉」

現世。オレンジ色の髪をした、幼い少年が倉庫に迷い込んでいた。少年のその容姿は、誰かに似ている。彼を見付けた猿柿ひよ里は叱咤したが、男の子は見る間に姿を消した。

「…何や。逃げ足の速いやっちゃな…」

ひよ里はタンクトップに赤ジャージといういつもの服装だが、UNAGI屋のキャップを被っている。彼女のバイト先はWあの店Wなのだろう。
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変わって、此方は尸魂界。
六番隊長朽木白哉は、瀞霊廷を疾駆しながら、部下の報告を受けていた。

「ユーハバッハの力の残滓と思われる霊圧反応の所在は、西五十五区!十三番隊舎に隣接する、最終復興区画です!」

なんと、10年前に倒した筈のユーハバッハの霊圧が、存在していると言うのだ。そんな中で「朽木!」と白哉に声を掛けたのは、二番隊長の砕蜂。

「十三番隊長の方は、式の後すぐに発った様だから、お前に遣いをやったが…」

「構わぬ」と白哉。

「ルキア達は久方振りの休暇だ。連絡の必要は無い。私が処理する」

式とは、ルキアの新隊長就任の儀だ。 調査役を買って出たのは、これから多忙になるであろう妹に、存分な休暇を取らせてやりたいとの、白哉の思い遣りなのである。

「………………オヤ?妙だネ。君らに情報を渡したつもりは無かったが」

だが、西五十五区には、一足先に或る人物が訪れていた。十二番隊長の涅マユリだ。背後に現れた白哉らに、気付いたマユリ。

「隠密機動の情報網を舐めるなよ」マユリに向けて、砕蜂は言う。

「兄が居ると言う事は、情報は正しかったと言う事だ」と白哉も。
マユリを信頼している様子。

「ヤレヤレ。正しいも何も……。……直ぐにその眼で確認できるヨ」

マユリの言葉の後、彼等の眼前で、黒い霊圧はその姿を現した。
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再び、現世。空座町にある『クロサキ医院』。男女二人の訪問者が、入口のインターフォンを押した。

「おう」

と、中から出てきたのは、黒崎一護だ。あれから10年が経過した故か大人っぽくなり、髪が短くなっていた。現在、28歳。

「おう!」

来訪者は、朽木ルキアと阿散井恋次。

「相変わらず流行っておらぬな!ガラガラではないか!」

「病院がガラガラなのは、いいことだろが。ゴチャゴチャ言ってねーで、さっさと入れ。ちょうどみんな揃ったとこだ」

『クロサキ医院』は、今は一心から息子である一護へと引き継がれている様だ。もしかしたら、親子で診療など致しているかもしれない。

「あ!ルキアちゃんだ!いらっしゃい、ルキアちゃーん‼」

リビングからの声の主は、一護の友人、浅野啓吾だ。部屋に入ると、かつてのクラスメイト達が、テレビの前にて寛いでいた。

「あんたン家みたいに言うんじゃないの!」と、有沢竜貴。

「久しぶりルキアちゃん。髪のびたね。似合ってるよ」

笑顔の小島水色は、相変わらずのフェミニストぶりだ。

「どいてどいて、おにいちゃん!」

「ポップコーンとコーラが通るよーーーー‼」

一護の妹、遊子と夏梨も登場。二人も大人っぽくなっている。

「あ!ルキアちゃんだ!ひさしぶり!」

「久しいな二人とも!大きくなったな!」

ルキアと一護の妹達は、随分久しぶりの再会の様だ。

「ホラ始まるよ!一兄座って。こっち!」

「おー!映ったぞ‼」

全員がテレビの前にて集結。その理由とはーー

『ワイハンスプレゼンツ!WBO世界ヘビー級タイトルマッチ!ここで挑戦者、茶渡泰虎のこれまでの戦いを振り返っておきましょう!』

テレビの実況が告げるのは、今のチャドの活躍だ。なんとチャドは、ボクシングで名を上げていたのだ。本日は世界チャンプ決定戦である。

「イヤー、しかしチャドすげーよな!結局俺達ン中で、一番有名になっちゃったもんな!」

「俺達って、キミ入ってんの?」と水色。

「W俺Wの部分に入ってますけど⁉」

啓吾は、相変わらずの弄られキャラの様だ。仲間達との和気藹々とした時間であった。
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場面転換。石田雨竜は、病院の屋上にて、休憩している。

「石田先生は?」

「屋上で昼休憩延長中」

「なんかね、休みがどうしても合わなかったから。ホントはみんなと観る筈だった番組を、今どうしても観たいんだって」

「何そのかわいい理由」

女性看護師らのキャピキャピとした噂話が盛り上がる中、スマホの画面を見遣る雨竜。チャドの試合を観ているだろうその顔には、おだやかな微笑が浮かんでいた。
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再び、画面は『クロサキ医院』へ。

「始まるぞ、織姫ーー」

「はーーーい」

一護に呼ばれて現れた織姫。台所を手伝っていたのか、着けていたエプロンを外す。

「かずいは?」

「んーと。今は上だね。椿鬼くん達の報告だと、さっきまではひよ里ちゃんたちのとこに行ってたみたいなんだけど」

「おにいちゃんの部屋じゃない?かずくん、あそこ好きだから」と遊子。

一護。「今はお前の部屋だろ。いいのかよ?」

「いーよ!かずくんならいつ入っても!」

「一兄にソックリだもんなー、かずい」

「夏梨ちゃん」

ブラコンを指摘され、夏梨の頬を抓る遊子。先程会話に上っていたWかずい"なる人物は、どうやら一護と織姫の息子らしい。

「あれ。そういやお前ら、今回子供連れてくるって言ってなかったか?」

ルキアと恋次へ質問する一護。

「そうだ!漸く護廷隊見習いになれたのでな!盆の時期だけの通行許可が下りたのだ!ほれ、入ってこい!」

声をかけるも何の気配も無い。ふと後ろを確認してみるルキア。

「うむ!どうやらいなくなったな!」

「なんでだよ⁉」安穏としているルキアと反し、慌てる一護。

「案ずるな!死神だぞ!人間相手にケガなどせぬ!」

親であるルキアは、存外に心配しておらず。

「人間相手にケンカ売るような奴なのかよ⁉」

と一護のみが、いたく顔面蒼白となっていた。

1階でそんな騒動があった頃、2階の、かつて一護の部屋であった場所で、息子のかずいが"何か"を見付けた。
円形の穴から現れた、黒くゆらぐ奇妙な物体。
それはーー

「来るぞッ、退がれ!」

同時刻。瀞霊廷、西五十五区では、ユーハバッハの黒い霊圧が動きを見せ、その場に居た隊長達に緊張が走る。
そして、ちょうどその時。黒い物体に興味を持ったかずいは、幼さ故か躊躇いも無く、穴に手を突っ込んだのであった。
次の瞬間ーー

尸魂界のユーハバッハの巨大な霊圧は、呆気なく散り散りに砕け散ってしまった。もちろん、現世の黒い物体も、だ。
どうやらこの二つは同じものであったらしい。

「……………何だ……⁉ユーハバッハの力の残滓が………消えた…⁉」

眼前で起きた奇妙な出来事に、マユリを始め白哉と砕蜂は、何があったのかと驚嘆した。
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無間にて。幽閉され、椅子に縛り付けられている藍染惣右介は、何かを感じ取っていた。

「ーーーユーハバッハの最後の力が……漸く消えたか………」

かつてのユーハバッハとの戦いに、藍染は思いを馳せた。黒崎一護がユーハバッハを倒した、10年前のことーー
斬られ、死の直前のユーハバッハが一護に語ったのは、自身の真の望みであった。

「道は…閉ざされたぞ…一護。恐怖無き世界への…道が。現世も…尸魂界も…虚圏も…一つになるべきだ。生と死は混じり合い…一つになるべきだったのだ。だが…それも最早叶わぬ。お前のお陰でな…一護。無念だ…お前のお陰で…生と死は形を失わず…命あるすべてのものは、これから先も死の恐怖に怯え続けるのだ………永遠に…」

ユーハバッハが築き上げる筈であったのは『死の恐怖』無き、一つの世界だった。現世、尸魂界、虚圏が一体となった世界だ。
しかし、一護に敗れ、ユーハバッハは消滅した。

「ユーハバッハ。貴方の望んだその世界には、確かに恐怖は無いだろう。だが、死の恐怖の無い世界では人は、それを退けて希望を探す事をしないだろう。人はただ生きるだけでも歩み続けるが、それは恐怖を退けて歩み続ける事とは、まるで違う。」

今は亡きユーハバッハへと、藍染は語る。

「だから、人はその歩みに特別な名前をつけるのだ」

そんな藍染が想いを馳せるのは、黒崎一護。

「W勇気Wと」

今、一護とルキアは昔と変わらぬ言い合いをしている。一護が、二人の勇気が、世界を護った。生きることに意味を持ったこの世界を。
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再び、かずいの居る部屋の壁に穴が開き、先程とは違う黒い物体が現れた。穴から小さな足らしきものが見える。

「だれ?」と、かずい。

「阿散井苺花!死神見習いよ!あんたは⁉」

登場し名乗ったのは、快活そうな少女であった。その名前から彼女は、恋次とルキアの娘であることが分かる。

「ぼくは………黒崎一勇。ぼくも死神だよ」

現世のパーカーから、一瞬にして死覇装姿となったかずい。かずいの力の強さが分かる瞬間だった。

「はあ⁉」

現世の少年に急に死神を名乗られ、狐につままれた様な顔をする苺花。

斯くて刃は、新時代へと引き継がれていくー。
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最後の鰤感想です。ジャンプでの15年もの長きに渡る連載も、いよいよ最終回。

しっかし、連載終了してから約3週間手をつけず。皆様本当にすみませんm(_ _)m
いや、ね。なかなか踏み切れなかったのですよ。最終回というのが、余りにも辛すぎて。そ、喪失感が…。まあ、それだけ私の中でのBLEACHの存在が、大きかったのです。ご理解頂けると、有り難いです(*^_^*)

さて。最終話では、10年後の現世が主に描かれています。
一護は28歳。医者になり『クロサキ医院』の後を継いでいます。そこへ尸魂界からルキアと恋次が訪ねて来ます。
ルキアは前回、浮竹亡き後、十三番隊長になりましたね。今回の訪問は、恋次と二人揃っての休暇の様です。

そして、集合した懐かしい顔ぶれ。啓吾、水色、竜貴らクラスメイト、一護の妹の遊子と夏梨も、少し様相は変わってはいますが、その人柄は変わってはいない様子。
全員集合の訳は、チャドの試合をテレビ観戦する為でした。チャドはBIGになりましたね。元々ボクシングジムに所属していたチャドが、ボクシングのチャンプになるなんて‼
チャドファンは嬉しい展開ですね(^ω^)

一方、雨竜もまた医者になり、チャドの試合をスマホで見ていましたね。雨竜は仕事が多忙で、一護宅へ行けなかった模様。後を継いだという事は、竜弦との関係は好転してるようです。ちょっと、ホッ…^_^;
女性看護師らからキャピキャピと噂されるぐらいですから、きっと未婚でしょうね。雨竜、かなりモテてそうです(*^_^*)

更に、織姫の登場。一護や織姫、妹達の会話から現在、一護と織姫が結婚し、『かずい』という息子が居る事が判明します。
ここで、フルカラーで冒頭に登場した一護ソックリのオレンジの髪の少年は、二人の子供であると読者は気付かされますね。

この時、ルキアと恋次が連れて来た筈の『子供』が、迷子になってしまいます。一護の物言いで、ルキアと恋次が結婚していて子供までいる事も分かります。
10年が経過し、皆それぞれの道を進んでいるのですね(。-_-。)

ここで10年後のCPについてですが、もし未来が描かれるなら、こうなるかも…とは思ってはいたんですよ。織姫はずっと一護に恋愛感情を持っていたし、恋次は幼い頃からルキアを好きでしたものね。恋次の場合は明確には言葉には出してませんでしたが、まあ、分かりますよね。
ユーハバッハ戦で現世に向かう間に、一護へルキアとの蟠りを解くきっかけを作ってくれて感謝しているという言葉を出してましたから。
それに一護がルキアとくっついてたら、恋次と織姫は一生独身のままじゃないですかね?なので、この組み合わせには納得しておりますよ^_^;
しかし、ノーマルCPでは、きなこは『一ルキ派』なので、残念ではあるんですがね。

本題に戻ります。ユーハバッハの霊圧が再び現れ、もしかして、まさかのバッドエンド⁉と、読者としては不安な1週間を過ごしておりましたが。なんと‼一護の息子のかずいが、無意識のうちに、消滅させてしまいました‼未だ幼いのに、なんという力なんでしょうか⁉Σ(゚д゚lll)
やはり一護と織姫の血を引いてますから、強力な霊圧を持ってるのでしょうね^_^;

白哉、砕蜂、そしてマユリもここで出番終了となりました。隊長格三人とその他大勢でも警戒していたユーハバッハの霊圧の残滓。消えてくれて有り難いのですが、マユリならこの後、消失した原因を調べそうですね。

そうして藍染。再び無間に大人しく閉じ込められてるなんて、一体どうしたんですかね?一瞬、藍染が次の霊王になっちゃったかと思いましたよΣ(゚д゚lll)
で、この男。やっぱり美味しいとこ、持って行っちゃいました。回想シーンで蘇る、ユーハバッハの最期。ユーハバッハの望んだ未来は『死の無い世界』で、一護がそれを奪ったとユーハバッハが言う。そんな今は亡きユーハバッハに、藍染は『ただ生きているだけの世界』より『死があるからこそ、生に意味がある世界』が素晴らしいと説くのですね。

そして『立ち向かう』勇気こそが大切なのだと述べる。その頭に描くのは、一護とルキア。1巻の『死神ルキアの刃を受け入れた』人間一護の勇気から始まり、物語は『生に意味持つ平和』な未来へと。

最期に少年と少女は巡り会い、名乗ります。阿散井苺花と黒崎一勇。
もう!二人に相応しい名前ですね。苺花は『苺=一護』でしょうし、一勇は文字通り『一つの勇気』ってことでしょう。
2人は同い年に見えますし、一勇の霊力が尋常では無い事から、これからどんな未来になるのだろうか、という所で物語は終わっています。
新しく造られた『眠八號』も彼らと同年代ですし、続編描こうと思えば出来るんじゃないでしょうか。

バッドエンドか、一護が霊王になるか、と色々妄想致しましたが、結末は至ってシンプルに、平和な未来が描かれておりました。しかし、ユーハバッハの過去や、現在霊王はいない状態なのかなど、未だ未だ謎が残っており、『え?これで終わっちゃうの?』との感も。
うーん、やっぱり編集部に結末急かされたのかなぁ。BLEACHという素晴らしい長期連載作品が、結末を存分に描かれないことには、残念ですね。もっと時間が欲しい感じです。ですが、15年もの連載をきちんと終えることの出来る久保先生の才能と力量に脱帽です。

BLEACHという作品を生み出され、個性的な登場人物達、なかでも涅マユリという唯一無二のキャラクターに出逢わせて頂き、感謝の気持ちで一杯です。マユリに巡り会えて、きなこは幸せでした。
今は喪失感が酷く、寂しいばかりなんですが、また久保先生が続篇や新たな作品を描かれるのを、楽しみに致しております。

ああああ〜、BLEACHホントに終わっちゃったよぉ〜‼ジャンプを開く時のワクワク感が、今は……(つД`)ノ こち亀も終わるのですよね。NARUTO、ニセコイ、BLEACHと長期連載の終了が続きますね。
本サイトでは、作品が終わっても、きなこは『浦マユ』小説書いていきますので、皆様よろしくお願いします。

きなこあずき

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