短編

□早起きは三問の得
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いつもと同じ時刻、目覚める。


欠伸と共にベッドから起き上がり、洗面所へ向かう。



「ねみぃ……」


昨晩は、遅くまでパソコンとにらめっこしていたことを思い出し、再び大きな欠伸をひとつ。



顔を洗い、歯を磨いた後、髪を結わえる。



―さて、着替えるか。


オレは洗面所を離れた。







「日向くん、おはよう」
「…はよ」


六道黄葉のベッドに、何故か六道(大)が腰掛けている。

しかし、最近毎朝こうなのであまり驚くことではない。



「あれ、お前今まで寝てたんじゃ…」

「さっきまで部屋の外に出てたよ」

「…そうか」


こいつの方が起きるのが早かったことが少し癪に障ったが、今は支度をしなければならないから忘れよう。



「お前、先に飯行けよ」

「ん?あぁ、俺は日向くんが支度終わるまで待ってる」

「…ふぅん」

「早く着替えなよ」

「あぁ…」


こちらをジーッと見つめてくる六道。


物凄く着替えにくい…。


「日向くん?」

「あ、あのさ…、ちょっとあっち向いててくれないか…?」

「なんで?」

「なんでって…そりゃ……」

「?」


ニヤリと黒い笑みを浮かべながら、立ち上がり、オレの方に近づいてくる。

「な、なんだよ…」

「なんで俺が見てると着替えられないの?」

「べ、別に…」

「ねぇ、日向くん?」

「う、さい…」

「恥ずかしいの?」

「っ…」


耳元で、いい声で、かっこいい顔で紡がれる言葉。


こういう時にドSを発揮されると非常に困る。


「日向くん?」

「…わりぃかよ」

「何が?」

「恥ずかしいって思ったら悪いのかよっ…」


「悪くないよ、全然悪くない。むしろいいよっ」

「………」


「よし、可愛い日向くんの恥じらう姿をもう少し堪能しようかな♪」


「お前は本当に早く飯食いに行けよっ」

「えぇー、俺日向くんいないとやだー」

「ああぁ、イライラするっ」






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