短編

□この壁を壊すまで
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「お前さ、どうしたらそんなにデカいわけ?六道が小さいのはお前がデカいからなのか?」


 廊下を並んで歩いていた昼休み。

これといって会話もなく、しかし重苦しい空気でもないこの微妙な雰囲気。

そこへピリオドを打つように日向くんの口から紡がれた言葉だが、意味がよく解らない。


「オレの身長、結構高い方だと思ったのに。お前に負けてると思うとなんかさ、ムカつく…」


そこまで差はないとは思うけど、日向くんは気に食わないらしい。


俺的にはもう少し小さくても可愛くていいと思うのだけど、やはりそういうわけにはいかないみたいだ。


 日向くんの一方的な身長論議を軽く聞き流しながら長い廊下を歩き続けると、右手に階段が見えてきた。


その階段を上る日向くんに続いて俺も階段に足をかけた。


「ストップ」


その声の通り、階段を二段ほど上ったところで足を止める。対する日向くんは俺より一段上に立っている。


こんな所で一体何だろう?と疑問符を浮かべていると、日向くんは俺の頬に手を添えて柔らかそうな唇をこちらへ近づけてくる。


驚きのあまり後ろへ倒れそうになるのを、すぐ側の手すりを掴み難を逃れる。


 重なった唇から感じる日向くんの優しさ。
 手に取るように伝わってくる必死さ。



―そういえば、日向くんからこういうことしてくるの初めてだな。


その行為に嬉しさを感じ、感動していたとき、唇から日向くんが離れていて少し残念に思ったが、彼の真っ赤な顔を見たらそんな思いも何処かへ飛んでいった。



「こうしなくてもオレから出来るようになるまで、それ以上デカくなるなよっ」

「…え?」


 突然のことに驚きを隠せない俺だったけど、日向くんの考えてることを理解した途端、そのあまりの可愛さに笑みがこぼれて止まらなくなった。


 日向くんは何をするかわからないから、いつもドキドキさせられている。

そんな彼が大好きでたまらない。


この壁を君が壊すまで、牛乳でも飲んでゆっくり待つことにしよう。






(なんか黄葉くんみたいだね、日向くん)
(あれと一緒にすんなっ)
―――――

っていうシチュが好きで、一度書きたかったんです!

またチャレンジしてみますっ



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