短編
□なんてね。
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『もし、俺がいなくなったらどうする?』
普段あまり冗談を言わない彼が突然放った、想像し難いコト。
割と真面目な顔で言うもんだから、些か笑っていられなくなった。
「いきなりどうしたの?」
「たとえば、だよ。」
と、天を仰ぎながら、らしくないことを。
いつ死ぬかわからない状況下、そう思う者は少なくないであろう。
しかし、彼―日向三十郎の口からはそんな弱気な発言を聞きたくなかった、と少し悲しくなる。 彼の望む答えを、六道は知らない。
「そんなことにならないようにオレがなんとかするよ」
だから、彼が出来る精一杯をぶつけるのだ。
「はは、お前ならやりかねないな」
日向三十郎は心底嬉しそうな顔を、六道に見せないようにしながら言った。