短編

□くらがり
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 楢鹿は天候に左右される高校だ。
今日は入学後初めての大雨で、蝕は勿論ない。


 授業が無事終了し寮に戻りながらこの天候に喜ぶ生徒たちと、彼らの期待に応えるように、ますます強くなる雨風。

ヒューヒューと強い風の音が耳に入ってくる。
窓の外は木が揺れ、水が溢れと大惨事だ。



「日向くん、早く入りなよ」

六道が窓の外を眺める日向を呼ぶと、ボーっとしていたのか、驚いたようにして、

「い、今行く」

と返事を返した。


「雨、止みそうにないね」

「ああ」



 しばらくすると雷鳴が部屋に響き始めた。

それを聞いた瞬間体をビクンと震わせ、小さくなる日向。


(雷怖いのかな…)


震える日向とは裏腹に、心が弾みはじめた六道。
彼の弱みを握り満足げな様子である。



―パチンッ


「ふぇ?!」

随分と間抜けな声を上げた日向。

「停電かな」

と灯りを探そうと立った六道の制服の裾をグイッと弱い力が引っぱった。

力の先を見ると、日向が俯きながら腕を伸ばしていた。


「どうしたの、日向くん?」

その言葉に「ぁ……ぇと…」と声になりきれていない声が日向の口から紡がれる。


 仕方なく日向のそばへしゃがみ込み、彼の口元に耳を傾ける六道。


「ど…にも、く…な」

「ん?」

「…どこにも、い…くな」


『どこにも行くな』


たしかにそう言った日向の顔は暗がりの中でも十分認識できる程に赤く、今にも泣き出しそうだった。



 六道は柔らかく微笑んで日向の隣に再び腰をかけた。



―――――

日向くんが暗いの嫌いだったら萌える(・∀・)

停電してた時に思いついたネタです←

24時間停電は流石に堪えました(´・ω・`)





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