短編
□食べたいの
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チョコレートがコーティングされたプレッツェル菓子。クラスの女子がみんなして購買で買ってきていた。
女子はこういうイベント事好きだよな、と思いながら教室で繰り広げられている光景を半ば上の空で眺めていた。
「あんなもん菓子工場の戦略にすぎないだろ」
「夢がないな、日向くんは」
「何が夢だよ」
「オレにもよくわからない」
「シバくぞ」
「日向くんにされるなら何でも受け入れるよ」
「……」
「それよりさ、これ食べる?」
「お前オレの話聞いてなかったろ?」
六道は、何の事やらと言わんばかりの顔でこちらを見つめたあと手に持っていた菓子の封を開け、細長いそれを一本つまみ上げた。
「はい、あーん」
「いらねーよ」
人を小馬鹿にしたような顔で菓子をオレの口元に近づけてくる変態を手で制し睨みつけが、六道はそんなことを気にも留めなかった。
「日向くん甘いの嫌い?」
「別に嫌いじゃねーよ」
「じゃあ何で嫌がるの?」
「菓子工場の策略にハマるとか気に食わないだけだ。あとお前が気持ち悪いから」
「酷いなぁ」
諦めた様子で持っていた菓子を1人で食べ始める六道。男が1人、丸くなって菓子を食べる姿はとても見てられるものではない。
「お前すげぇ虚しいな」
六道がつまみ上げた何本目かわからない棒状菓子。チョコレートのかかったそのてっぺんにかじり付いてみた。
チラリとヤツの方へ目をやれば、普段より数倍は間抜けになった顔がこっちに向けられていた。
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ポ●キーの日美味しいですね。