短編
□大切な思いを込めて
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甘ったるい香りが学校中に充満している。
これは、チョコレートの香りだ。
そういえば今日、2月14日はバレンタインデーだった。
バレンタインにこれといっていい思い出があるわけでもない日向は、購買に群がる女子生徒を横目に部屋へと足を運ぶ。
部屋に入ると六道(大)がいた。床に鎮座している。それを見て日向も床に腰をかける。
「女子ってバレンタイン好きだよな」
「イベント事には全力で挑んでくよねー」
「なにが楽しいんだかな」
「負け惜しみにしか聞こえないよ、日向くん」
「うるせー。
そういえばお前、チョコレート貰ってたよな」
何人かの女子に声をかけられていた六道。顔だけはいいからモテるのだろう。
「ああ、貰ったよ。」
指差す方には、カラフルな包みが見えた。
それを見た日向は少し顔を顰めたが、六道は気づかない。
少しの沈黙のあと、日向は意を決したかのような顔つきで言った。
「おい六道。口開けろ」
日向はポケットから取り出した小さなチョコレートの包みを開け、甘いそれをつまみ上げ六道の口元へ持っていく。
一瞬驚いた顔を見せた六道だが事を察したようで、日向の細い指につままれたチョコレートを口に含む。
「ふふ、日向くんからのが一番嬉しいよ」
「お前いちいち恥ずかしいんだよ、馬鹿」
心底幸せそうな六道の顔を目にし、満足げに微笑む日向だった。
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最近積極的な日向にハマってます、
てか日向はノアちゃんとミノ←)から貰ってると思う。
六様は数人の女子から貰ってそう。