短編

□舐める
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「おい、ろく、ど…ぁっ」

 10分くらい経っただろうか。六道の狂ったようなキスが始まってから。
唇を筆頭に頬や首筋、至る所に口づけ舌を這わせてくる。
もう、そこら中六道の唾液まみれだ。
声をかけても聞く耳を持たない六道の前では馬の耳に念仏である。

「おまえ、どうし…ひぁ!?」

耳の中に舌が侵入してきた。熱い吐息と唾液のねっとりした感じが鼓膜を犯す。
抵抗したくても全体重をかけているんじゃないかと錯覚するほど重くのしかかる六道の体の所為で全く動けない。

「ふうぅ…、ぁぁっ」

突然鎖骨のあたりを思い切り吸われ、思いがけず声を上げてしまう。
尚もその行為は続けられ、全身の力が抜けてしまう。体は熱く火照り、着ていたワイシャツは汗でびっしょりだ。
湿ったワイシャツの上から、六道は日向の胸のあたりを舐め始める。
乳首を執拗に弄られるが、布の上からというもどかしさが快楽の果てへ逝くことを許さない。

 ふやけた唇、キスマークだらけの首筋、唾液と汗に濡れた体、思考が働かない頭、馬鹿みたいに反応した陰部。
部屋に響くのは興奮状態の男2人の荒い息。


 こんなにぎらついた六道の眼を見たのは初めてだった。


―――――

発情期六様



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