短編

□あヾ
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グロ注意です。
(流血、「だるま」などの表現など)

大丈夫な方のみスクロールお願いします。












 黄葉くんに助けを呼ばれ楢鹿へ。
日向くんの姿を探しながら蝕と格闘していると、茂みから人影が覗いた。
目に映ったのは地面に蹲る緑色の髪の男。
その周りを囲むように、血。死を錯覚する程の量だった。
苦痛に歪む彼の顔など自分は知らない。
普段は悪態ばかりのその口から出てくるのは今にも絶えそうな吐息だけ。
思考が止まった。要領の良い彼に限ってこんなこと。
よくわからないままに、自分とあまり変わらない大きさの体を抱え全力で走っていた。途中誰かに声をかけられたが構い無しに走り続けた。
 
目を覚ましたのはその3時間後くらいだったか。
包帯に包まれた右腕と両脚。ベットに横たわる彼の体は明らかに小さくなっていた。
「腕と脚、なくなった。」
淡々と告げられた言葉はとても残酷なもので。
虚ろな目で天井を眺める彼と、何も言えない自分。ここでいつものように振舞ったら彼もまたいつものように返してくれるのだろうか。
 静寂に包まれた空間、真っ黒だった視界に写った弱々しく、震えている手。
「左手しか使えないとか、何ができんだよ…」
そうだ、こうなってしまった以上、彼は歩くことすら出来ない。
しかしどこからともなく蝕はやってくる。攻撃や防御に特化した文字ではない彼が、これから卒業するまで生き残ることが出来る可能性は極めて低い。
 もう彼は誰かの力無しでは生きていけない。
それなら、自分がそれを買って出ればよいではないか。そんなことを考えてしまった自分に虫酸が走る。
下衆な感情が穢れた心を更に穢し、どんどん侵食していく。
その綺麗な髪を結うのも、着替えをするのも、何をするにもオレがいないとダメなんだ。

―あヾ気持ち悪い。

いつから自分はこうなった?
自分のことすら出来ない自分が、どうしてこんな風に思うのか。



ーそうか、ただオレは、キミに必要とされたかったんだ。

キミを独占したかったんだ。

あヾキミはもう動けやしない―


ーーー

全くグロくないですね(笑)


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