OTHER
□ちいさなしあわせ
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「男鹿、だっこ」
そう言って手をいっぱいに広げる古市。
「ベル坊いるからダメ」
「むぅ…」
拗ねて膨れる古市を見て『本当に可愛い』と思う男鹿。
「コロッケ買ってやるから我慢しろ」
「ほんと?」
「ほんとだよ」
コロッケという単語で一瞬にして表情が明るくなる。現金なやつだ。
「でも…」
古市が聞こえるか聞こえないか微妙な声色で言った。
「ベル坊ばっかずるい…」
男鹿の右手をきゅっと掴んで横を歩きながら。
「それは言わないっつったろ?」
ぽん、と小さな頭に手を添え諭す。
「はあい…」
諦めたように返事をした古市は、肉屋フジノが目に入ると「フジノのコロッケ!」と言って、手を握っていた力を弱め1人で走っていく。
「おい、あぶないぞ」
「おばちゃん!コロッケ頂戴!」
元気な声の次に店員の落ち着いた声が聞こえた。
「男鹿!はやくはやく!!」
コロッケ3つを受け取った古市は大きく手招きをして男鹿を呼ぶ。
代金を払いコロッケにありつく。
嬉しそうな顔してコロッケを頬張る古市を見て、男鹿は柔らかな笑みをもらした。
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ショタ市を私にください(切実