拍手(過去)

□春と言えば
1ページ/3ページ




春と言えば――?



「一体、何があったんだ?」

李 絳攸は、その光景を訝しげに眺めながら言った。

「そうだねぇ……何か悪いものでも拾い食いしてしまったかな?」

藍 楸瑛もその光景を不思議そうに眺めながら言った。

その光景とは……

「聞こえたぞ、二人とも!余が真面目に仕事していることの何が可笑しいのだ!それに、今日は拾い食いなどしていない!」

……今日は?
二人は、何処からつっこもうか悩んだが、面倒なので敢えて触れないことにした。

「余は、今日の仕事を早めに終わらせたいのだ。」

「ほぅ、それはいい傾向ですね。この仕事を早めに片付けてくれれば次の仕事に取り掛かれます。」

「つ、次の……」

絳攸の容赦ない言葉に、劉輝の言葉が詰まる。
この仕事が終わった途端、別の書類の山を机案に積まれそうな勢いだ。

流石に不憫に思った楸瑛が、劉輝に助け船を出した。

「主上は、何故そんなに早く仕事を終わらせたいのですか?何か用事が?」

「……!!楸瑛!!よくぞ聞いてくれた!!……ふふふ、聞きたいか?」

私が聞きたいというより、貴方が言いたいのでしょう。と思ったが、これでも国主だ。失礼があってはいけない。

「えぇ、教えて頂けますか?」

劉輝の怪しい笑顔に、優美な笑顔を返す。

「では、謎かけに答えられたら教えるのだ。」

「謎かけ……ですか?」

突然のことに、きょとんとした楸瑛の顔を見て、劉輝がにこにこと笑顔で頷いた。

.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ