拍手(過去)
□春と言えば
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春と言えば――?
「一体、何があったんだ?」
李 絳攸は、その光景を訝しげに眺めながら言った。
「そうだねぇ……何か悪いものでも拾い食いしてしまったかな?」
藍 楸瑛もその光景を不思議そうに眺めながら言った。
その光景とは……
「聞こえたぞ、二人とも!余が真面目に仕事していることの何が可笑しいのだ!それに、今日は拾い食いなどしていない!」
……今日は?
二人は、何処からつっこもうか悩んだが、面倒なので敢えて触れないことにした。
「余は、今日の仕事を早めに終わらせたいのだ。」
「ほぅ、それはいい傾向ですね。この仕事を早めに片付けてくれれば次の仕事に取り掛かれます。」
「つ、次の……」
絳攸の容赦ない言葉に、劉輝の言葉が詰まる。
この仕事が終わった途端、別の書類の山を机案に積まれそうな勢いだ。
流石に不憫に思った楸瑛が、劉輝に助け船を出した。
「主上は、何故そんなに早く仕事を終わらせたいのですか?何か用事が?」
「……!!楸瑛!!よくぞ聞いてくれた!!……ふふふ、聞きたいか?」
私が聞きたいというより、貴方が言いたいのでしょう。と思ったが、これでも国主だ。失礼があってはいけない。
「えぇ、教えて頂けますか?」
劉輝の怪しい笑顔に、優美な笑顔を返す。
「では、謎かけに答えられたら教えるのだ。」
「謎かけ……ですか?」
突然のことに、きょとんとした楸瑛の顔を見て、劉輝がにこにこと笑顔で頷いた。
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