06/05の日記

02:23
反射・2
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「何か面白いものでもありました?」

「いや、春だなぁ、と」

「は?」

「いや、それよりも……青春だなぁ、と」

「……はぁ」

仲睦まじい恋人同士でも見つけたのだろうか。
三枝先生が楽しそうに言った。

「それにしても、意外。あの橘が、ねぇ」





ガタン――……





その物音に、驚いたように三枝先生が振り返る。
それが、自分が立てた音だと気が付くまでに少し時間がかかった。

「……どうしました?急に立ち上がって」

「あ、いえ……そろそろ、失礼、します」

手のなかの煙草の火を灰皿に押し付け、箱を胸ポケットにしまう。
その動作をしながら、窓の外を一瞥した。





橘と、確か……生徒会の……





橘に、ぴたりと寄り添いながら歩く男子生徒の名前を思い出そうと頭を捻るが、もう一息のところで出てこない。

「遠野、ですよ」

「……え?」

「生徒会の遠野です」

「……あ、あぁ、そう、ですね」

この人は、俺の思考を読んでいるのだろうか。
見開かれた目を向けると、三枝先生はゆっくりと笑顔を作った。
何か、面白いものでも見つけたような顔。

「……で、では、俺は……これで」

「香焼先生」

「……はい」

「反射は、無意識の行動ですよね」

「……えぇ」

「ということは、気を付けようがないですね」

「……何を、言いたいのですか?」





この人は……





「いえ、反射について、考えてみただけです」





全く、あなどれない。





にこにこと笑顔を崩さない三枝先生に対し、自分の顔は崩れた苦笑を浮かべていることだろう。

鏡を見なくても分かる。

「香焼先生、今日、飲みに行きます?」

「いえ……今日は結構です」

「まぁ、そう言わずに」

三枝先生は、煙草の火を消すと、窓を閉めた。
鍵を締め、伸びをひとつすると、扉に手を掛ける。

「では、参りますか」

「……はい」

半ば諦めたように、彼女の後に続いた。



Fin.



女性にとことん弱い香焼先生(笑)
いや、女性が強いのかな。

最近、ドラマ「BOSS」を見ているから、強い女性に惹かれています。
BOSSかっこいい!!
あんなお姉様になりたい!!

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