ミエナイキズナ
□第二章 消えた存在
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「んーっ!!」
小さな体を出来る限り上に伸ばす。朝起きた後は思い切り背伸びをする…私にとっては、これが毎日の日課になっている。
「ちょっとは、私の背伸びたかな…」
まだ育ち盛りだもんね―と心の中で思いながら、微笑みを浮かべた。
『朝起きるとな、少し骨が柔らかくなってんだ。だから、伸びをするといい。お前さんも少しは高くなるぞ!』
犀彰さんにこう言われて以来、疑うことを知らない私はその言葉を鵜呑みにしていた。続けていたら、必ず身長が高くなる…今でもそう信じている。もちろん、保証などどこにもないのだが。
「さって、今日も頑張りますか!」
両手で頬をぱんっと叩き、気合を入れる。あの夢を見た後なんだから、といつもより強めに力を入れた。少し顔がじんじんした。