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第二ボタン【シズイザ】
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何故第二ボタンを貰うのか。いつからその風習がついたのか。
いや、実際問題俺にはそんなことどうでもいい。俺は「どうして人間達がそんなくだらない思考にたどり着いたのか」だけが問題として非常に興味深い。

「というわけで、シズちゃん。第二ボタン」
「…意味わかんねぇ」

んっと手を差し出しても、やっぱり不機嫌になるだけのシズちゃん。

「…まったく、卒業式だってのに暇そうにサボってる君の遊び相手に来てあげたのに。その態度はなくない?」
「んなこと頼んでねぇ。…あんな長ったらしいもんに出られるか」

シズちゃんは見上げる俺の顔を珍しくグーじゃなくパーで押しのける。卒業式だからチョット感傷的になってんのかな?そうだったらキモチワルイな。
シズちゃんは上半身を起こして俺の真正面を見る。

「?」
「…第二ボタン、ほしいんだろ?」
「…、え。まさかホントにくれるの?」

シズちゃんは俺の戯言を本気に受け取ったらしく、第二ボタンに手をかける。俺は反射的にそれを止める。

「ちょ、冗談だってw本気にすんなし」
「…、んだよ」

つまんねぇっといったような顔をして、またベンチに寝転がるシズちゃん。

(…、何それ。意味わかんない)

頂戴って言ったら本気で渡そうとするのに、いらないって言えばそれで終わり。まったく、これだから天然は非常にめんどくさい。…面倒くさい。

「…シズちゃん。」
「あ?」
「何で第二ボタン貰うか知ってる?」
「…あー…確か、心臓に近いから?だっけか」

眠たそうに俺の質問に答えるシズちゃん。
うん。実に不愉快。っというか、シズちゃん一般的なことは知ってるんだ。

「ま、それは一番世に知れ渡っている説だよね」
「あ?他にもあんのかよ」
「あるよ?大体、第二ボタンについての説は今シズちゃんが言ったのを含めて3つあるんだ」

俺はシズちゃんの顔をひょいっと覗き込んで、息が掛かるくらい近くに行く。
けど、シズちゃんは眠たそうに…というかキレそうな顔で俺を睨む。おー、怖い怖い。

「一つはさっきのね。んで2つめは戦争中にそういうことしてたからなんだって」
「…」
「んで3つめはね、学ランってボタン5つあるじゃん?その1つめは自分で、2つめは一番大切な人、3つめは友人、4つめは家族、5つめは謎らしいよ」
「だーかーらぁー?」

すこぶる不機嫌だなぁ。俺なんかしたっけ?最初はあんな親切そうなのに。あ、もしかしてボタン本当に受け取ってほしかったとか?…まさか。ないない。キモチワル。
…ホントだったら…?

「…シズちゃんはブレザーだから、ボタン3つしかないんだ。」
「…」
「じゃあ、1つめが自分で、2つめは大切な人、3つめは友人…ってあれ?でも1つめのボタンって一番心臓に近いしなぁ…」

すべての説を提唱するにはたりない。というかおかしいことになるなぁ…


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